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市川美織の2nd写真集「果汁29%」が4月18日に発売される。これを記念して、市川がメディア取材に応じた。

【写真】桜の木の下でほほえむ市川美織

最後にポンッて絞り出した一滴

市川は2010年から2018年までAKB48グループに在籍し、卒業後は俳優やモデルとして幅広く活躍。2023年には韓国人プロデューサー、DJのNight Tempoが率いるレトロポップユニット・FANCYLABOに加入し、再び音楽活動を行っている。市川の写真集が発売されるのは2019年以来、約5年ぶりのこと。写真家に川島小鳥を迎え、今年の2月に30歳を迎えた市川の新たな魅力を引き出した1冊となっている。

AKB48時代から「フレッシュレモンになりたいの」というキャッチフレーズを使い、2014年から10年にわたって広島レモン大使を務めている市川。写真集のタイトル候補には「レモネード」「大人レモン」「レモンしか勝たん」など、レモンにちなんだものも多く含まれていたという。「写真集を手に取ってくれる人が気になるような言葉、かつ私らしさもちゃんと表現できるようなタイトルがよくて」と市川が悩み抜いた末に思いついたのが、レモンの“果汁”と、写真集の撮影を行った昨年12月時点の“29歳”を掛け合わせた「果汁29%」という言葉。市川は「まさか最後にポンッて絞り出した1滴が採用されるなんて!」とうれしそうに声を弾ませた。

雪景色への強いこだわり

カメラマンを務めた川島は、2011年、当時AKB48の研究生だった市川を雑誌で撮影したことがある。市川は「そのときから、小鳥さんの写真がずっと印象に残っていて。それまでアイドルは笑顔でいなきゃいけないというイメージがあったんですけど、そのときは素の表情で、そのままで撮っていただいて。それが自分の中できれいに見えて、衝撃的でした」と川島の写真との出会いを振り返り、「また撮ってもらえたらうれしいなという気持ちはずっとあって。今回写真集を発売することになって、小鳥さんのお名前がスタッフさんから挙がったときに『いいですね! 私もずっと撮っていただきたかったので、もしお願いできるなら』ということで、ともかく小鳥さんのスケジュールをすぐに押さえてもらいました」と、撮影地よりも真っ先にカメラマンを決めたことを話した。

1st写真集の撮影地は広島だったが、今作はオール北海道ロケで撮影。市川は「広島ではきれいな風景の場所をメインに撮ってもらったので、今回はまた違った質感の写真にしたかった。小鳥さんはフィルムでも撮影されるので、レトロな雰囲気の街並みが合うんじゃないかという話になって。それでスタッフさんがレトロな街並みをピックアップしてくださって、その中でも『北海道がいいな!』と思ったんです」と川島の写真に合わせて撮影地を選んだことを明かした。また北海道に決めた背景には、「雪景色の中で撮影をしたい」という市川の思いもあったという。その理由を尋ねると、市川は「私が生まれた1994年2月12日がちょうど大雪の日だったらしくて。『あなたが生まれたときは、大雪で大変だったんだよ』という話を、小さい頃によく両親から聞いていたんです。この業界に入ってからも、大切なお仕事がある日に雪が降っていたり。何かしら雪との縁を感じているんですよね」としみじみと語った。しかし、撮影時期である12月の北海道は極寒。「冬の北海道は本当寒いですよ。大丈夫ですか?」とスタッフに念押しされたそうだが、それでも市川は「雪景色で撮れるなら、私は大丈夫です。寒くてもなんでもやります」と言い切ったそう。しかし北海道に出発する前日、市川に飛び込んできたのは、暖冬で雪が降ってないという情報。「ヤバい! 北海道にしたはいいものの、撮りたい絵が……!」と市川は焦るも、いざ北海道に入るとそこには雪景色が広がっていた。「やっぱり私は雪に縁があるのかも。雪女なんだな」と市川は納得した様子で頷く。一番のお気に入りカットを尋ねると、海のそばで撮影したという雪景色の中での写真が挙がった。

衣装は防寒を考慮して毛糸のアイテムなどを選んでいったとのことだが、市川が一番のお気に入りの服と話すのは防寒を度外視した、白のニット素材で作られた薄手の衣装。市川は「どうしても着たかった」というこの衣装を着て、札幌・大倉山のスキー場での撮影に挑んだ。市川は「この衣装を見たときに『これ、絶対かわいいですよね!』という話になって。どこで着ようかと思ったときに、雪の中に真っ白なこの服で立っている絵が浮かびました。雪の中のバレリーナのようなイメージで。スキー場に来る服装ではないんですけど(笑)。ここでしか撮れない絵を撮りたくて、写真集のために体を張りました!」とこだわりを語った。そのほかにも写真集には、肉まんを頬張るカット、レモンカラーの水着姿の写真や銭湯でのカットなどが掲載されている。

新しい音楽の世界との出会い

30歳を迎えた心境を問うと、市川は「先輩の卒業コンサートとかでメンバーに会うと、『みおりんは本当に変わらないね』と言ってもらうことが多くて。もっと『変わったね』と言われるかなと思ってたんですけど、外から見ると何も変わってないんだなって」と笑う。そして彼女は「でも、それってすごくいいことなのかなって最近思ってきて。自分は自分でいいんだなと感じる」とまっすぐに述べ、「変わらない自分もありつつ、30歳ということで、20代よりは厳しく見られることもあるのかなとも思うので、そこは自分でももうちょっと考えていきたいです。舞台をやらせていただくたびに、キャストの中でも上の年齢に入ってきているのを感じるので。ちゃんと上から支えられる人になっていかなきゃいけない」と背筋を伸ばした。

30歳を目前にした昨年、市川はレトロポップユニットFANCYLABOとしての活動をスタートさせ、新境地に足を踏み入れた。FANCYLABOはNight Tempo、矢川葵(ex. Maison book girl)、市川の3人組ユニットで、1980年90年代渋谷系シティポップトレンディドラマなどから影響を受けている。FANCYLABOでの活動について尋ねると、市川は「すごく楽しいです。今までのアイドル活動でのステージとは全然違う。Night Tempoさんに出会って、新しい世界に連れ込んでもらえたなって。いくつになっても新しいことってできるんだなと感じました」と目を輝かせ、「新しいチャレンジをさせてもらってることに、とってもうれしく思いますし、やるからにはもっともっとグループとしても成長していかなきゃいけないという責任感も芽生えています。今はNight Tempoさんのライブにゲストで出させてもらってる形ですけど、今後FANCYLABOだけでのワンマンライブをやることを目標に掲げて活動していて。FANCYLABOというユニットを応援してもらえる人がたくさん増えるように、これからがんばって活動していきたいと思います!」と意気込んだ。

市川美織