中国が独自に設計・建造した初の海洋掘削船「夢想」は中国最大トン数の科学調査船だ。昨年末に試験航行に成功し、現在は調整・内装工事の段階に入っており、年内の全面的な完成を予定している。人民日報が伝えた。

「夢想」に乗り込み、実験室の内装工事現場に入ると、銀色に輝くパーマロイが壁に貼られているところだった。「夢想」建設監督グループビジネスサブグループ実験室工学技術責任者の何清音(ホー・チンイン)氏は、磁力計で遮蔽層を注意深くチェックしていた。3000枚余りで計1200平方メートルのパーマロイは、バスケットコート3面分に相当。何氏は板の間の隙間を1mm以下にする上、磁気遮蔽効果に影響を与えないように、すべての板をぴったり壁に貼り付けなければならない。

何氏は、「磁気遮蔽室の設置は非常に重要だ。海洋掘削でサンプルを取得した後、鉱産物の地層貯蔵の年代を特定し、地球力学や地質進化の過程などを探るために、磁場の干渉を遮蔽する実験室環境内で磁気実験を行う必要がある。実験室はすべて国産で世界トップレベルのパーマロイ遮蔽層を革新的に採用し、外部からの磁気信号を99.8%遮蔽し、科学研究の実験環境を保証できる」と説明した。

世界で面積が最大の海上移動実験室としての「夢想」の船内実験室には、150台(セット)以上の各種精密実験機器が設置されており、現在すでに水、電気、ガス、風などの12のシステムの設置作業が完了しており、間もなく実験機器の設置が行われる。

中国地質調査局「夢想」指揮部の主要責任者の周昶(ジョウ・チャン)氏は、「掘削は『夢想』の最も重要な能力で、その目的は地球内部のコアを採取するとともに、そこに含まれる地質情報を取得することにより、地球深部の謎を解き明かすことだ」と説明した。

船内を歩くとその革新性に圧倒される。独自に研究開発した船内コアスマート保管・輸送システムにより、船内でコアを自動的に輸送・保管できる。水揚げされたばかりのエビを冷凍庫に入れるように、サンプルの「鮮度」を保証できる。エネルギー貯蔵技術とクローズドループ電力網の応用により、180人の船員を満載した状況で、海上で120日連続で作業することができる。航続距離は1万5000カイリ。120万mの電気ケーブルの敷設は情報化技術をフルカバーし、船と陸上間のスマートな連携を実現した。(提供/人民網日本語版・編集/YF)

中国初の海洋掘削船「夢想」は昨年末に試験航行に成功し、調整・内装工事の段階に入っており、年内の全面的な完成を予定している。