星野リゾート4月17日、2024年の新規開業施設をはじめ、今後の展開・戦略についてのオンライン発表会を開催した。

"旅を楽しくする"をテーマに、「星のや」「界」「リゾナーレ」「OMO(おも)」「BEB(ベブ)」の5ブランドを中心に国内外69施設を運営する同社は、2024年に新たに5施設の開業・1施設のリニューアルを予定。その中の注目施設を紹介していく。
テーマパーク旅を快適にする「星野リゾート 1955 東京ベイ」

「星野リゾート 1955(いちきゅうごーごー) 東京ベイ」は6月20日千葉県・舞浜新浦安エリアに開業。東京ディズニーリゾートを目的とする宿泊客の便利で快適な滞在を目指すという。

コンセプトは、"古き良き"を意味する「OLDIES GOODIES」で、館内のデザインはディズニーランドが初めて誕生した1955年頃のアメリカの世界観をモチーフにしている。

館内に用意されたパブリックスペース「2nd Room」は、チェックイン前・チェックイン後も過ごせるほか、夜遅く・朝早くに出来立ての食事が楽しめるレストラン、軽食や菓子、酒が24時間手に入る「Food & Drink Station」を設置。

テーマパークをとことん楽しむために必要な要素がぎゅっと詰まったホテルになっている。
東京五反田、高知にOMO開業

"テンションあがる『街ナカ』ホテル"をコンセプトにした「OMO」は、6月に「OMO7高知」をリニューアルオープン、4月に「OMO5東京五反田」、7月に「OMO5函館」を開業。

中でも注目したいのが、五反田駅から徒歩5分の場所にある「OMO5東京五反田」だ。オフィスや商業施設から構成される「五反田JPビルディング」内の地上60~100mの高層階に位置し、客室からは品川、目黒、大崎など近隣一帯を望むことができる。

コンセプトを「夜景とご馳走のパラダイス」とした同施設は、名店ひしめく五反田の食を堪能できる仕掛けが満載。

飛び込み入店が難しい人気店で30分間、名物料理1品とドリンクを楽しめるチケット「ひとさら de ご馳走パス」をはじめ、個性的な店が入ったビル・通称「五反田ヒルズ」ではしご酒を楽しむアクティビティ「五反田ヒルズツアー」などを提供し、街の魅力を伝えていく。
温泉ブランド「界」、秋保・奥飛騨へ進出

温泉旅館ブランド「界」からは、4月に「界 秋保」、9月に「界 奥飛騨」が誕生する。

星野リゾートとして岐阜県へ初進出となる「界 奥飛騨」。北アルプスの名峰に囲まれ、日本屈指の湯量と源泉数をもつ奥飛騨温泉郷だが、近年では若年層の利用経験が低い場所になっているという。

そこで、コンセプトを「山岳温泉にめざめ、飛騨デザインに寛ぐ宿」とし、山あいの温泉の良さに気づくきっかけや、飛騨地域の文化に触れるひとときをモダンな造りを織り交ぜながら提供する。

大浴場の温泉や客室の露天風呂での湯あみをはじめ、中庭の足湯、路地空間、辻空間、離れなどへの回遊動線を設け、温泉郷の楽しみを堪能できる。
インバウンド格差解消のカギは?

会見の最後に同社代表の星野佳路氏は、一部地域に偏るインバウンド格差について触れた。

2023年の都道府県別 訪日外国人の宿泊数は、東京や大阪など上位5都市のみで宿泊数全体の約75%を占めた。データからもわかるように、インバウンドの経済効果は地方に波及していない。

同氏によれば、この格差解消には日本が苦手な「自然観光」を強くすることが重要とし、そのためには国立公園の強化が必要だと提言した。

また具体的に地方へ人を呼び込む方法を問われると、「情報発信を強化すること以外にない。DMO(観光地域づくり法人)が各地域に誕生しているが、機能そのものが海外のDMOに比べて力不足。本当の意味での企業のマーケティング的な取り組みができるようになっていくことが大事」と説明。

同社もコーポレートサイトを4月5日にリニューアルし、場所からではなくどのような旅を求めるか、旅のニーズに合わせたテーマでおすすめ施設を紹介するコンテンツを追加。情報発信強化にも余念はない。旅を通して日本の魅力を伝え続ける星野リゾート。今後もその取り組みから目が離せない。
(矢吹結花)

画像提供:マイナビニュース