コロナ禍を経て、文房具関係で特に活性化したジャンルは何か? というと、「デジタル学習タイマー」だと筆者は考えている。“学習” と言っても、とりたてて勉強用に特化しているわけではなくて、要するに、仕事や勉強をする上でオンとオフの区切りをつけ、効率ややる気を向上させるための装置、と考えてもらうといいだろう。

 

ここ数年で、新機能付きデジタルタイマーが次々と発売されているのだが、進化中のジャンルなので、自分にとってどういう機能があると便利なのかを、ユーザー自身がまだ把握し切れず、どれを買うべきか迷ってしまうケースが多発しているようだ。その場合、いっそのこと「機能全部盛り」の製品を買うのが手っ取り早いのではないだろうか。

 

残り時間のグラフ化でタイムマネジメントの効率アップ!

個人的に、いま最も「機能全部盛り」に近いと思っているのが、キングジム「ビジュアルバータイマー」である。なぜなら、昨今のタイマー界隈で特に注目度の高い「残り時間の可視化」機能と「リピート計測」機能を併せ持っているのが、この機種だからだ。

キングジム
ビジュアルバータイマー
2700円(税別)
4月19日発売予定

まず、「残り時間の可視化」だが、これはタイマーの時間経過をデジタルの数字だけでなく、パッと見ただけで直感的に把握できる要素で知らせるというもの。アナログ時計型のタイマーなら、針の位置で残り時間を感覚として捉えられるが、デジタルタイマーは数字のカウントダウンだけなので、そこが少々難しい。残り時間「45:00」と表示されていたとして、それが1時間での残り45分なのか、5時間での残り45分なのかで、その重要度は大きく変わってくるはず。

↑上部のボタンで操作。入力や操作のリセットは「1分」「10秒」ボタンの同時押しで行う

 

ビジュアルバータイマーは、残り時間を棒グラフのように表示できるのが最大の特徴だ。

 

(1) 本体上部のボタンで計りたい時間を設定すると、液晶画面向かって右側にはデジタル数字、左側には黒い目盛りが表示される。

(2) スタートボタンを押すと、数字のカウントダウンが始まり、それに連動して目盛りが少しずつ減っていく

 

目盛りは20段階に分割されており、設定された時間を100%として時間経過を比率的に表示する仕組みだ。例えば、10分を測るなら1目盛りは30秒ずつ減るし、60分なら3分で1目盛りが減る。

↑目盛り機能のおかげで、パッと見ただけで「残り時間あと半分」と、イメージできる

 

これはとても直感的だし、残時間のマネジメントが圧倒的にやりやすい。画面をチラッと見ただけで「もう残り1/3しか時間がないからピッチを上げよう」や「まだ半分あるから焦らなくてもいいか」といった判断がすぐにできるのだ。作業に集中しているほど、「40分タイマーで残り8分を切ったから、全体の4/5か」など、計算することに脳のリソースを使うのはもったいない。見ただけでなんとなく経過が分かる棒グラフだと、効率が良いのである。

 

作業と休憩を繰り返し設定できる、リピート計測が便利

もうひとつのポイントである「リピート計測」機能は、2種類のタイマーを交互に複数回繰り返すよう設定できるというもの。一般的に「ポモドーロ・テクニック」と呼ばれる集中法に便利な機能である。

 

例えば、30分経ったら休憩を10分入れる、を1セットにして何度も繰り返す。定期的に休憩を挟むことによって脳の疲労を防ぎ、結果として集中力が長続きする、というわけだ。

↑リピート計測モードは、2つのタイマーを1セットとして、それを何回繰り返すかを設定できる

 

設定方法もシンプル。

 

(1) 操作パネルから「モード」ボタンでリピート計測モードに切り替え、作業時間(時計アイコン)を設定。

(2) 続いて休憩時間(マグカップアイコン)の時間を設定。

(3) 最後に、繰り返し回数を入力したら設定完了で、スタートボタンを押すと作業時間のカウントダウンが始まる。

↑時間内はとにかく作業に集中。ちなみに、時間表示の下にある「06」というのは、作業と休憩のタイマーを6回繰り返す、という回数を示している

 

作業時間が終了すると、3秒の短いアラームが鳴って休憩時間のカウントダウンがスタートする。これを繰り返し回数分だけリピートしたら、10秒のアラームが鳴って全セット終了、という流れだ。

 

実際に試してみると「あれ、もう鳴った!? もうちょっと作業を続けたいんだけど」と、思えるぐらいの絶妙なタイミングで休憩に入るので、休憩後の復帰に対してモチベーションが高くなる。しかも、休憩によって気力が回復しているので、疲労感も少ない。結果、ダラダラと作業をするよりは確実に効率が上がるというわけだ。

↑休憩中は仕事から完全に意識を外して、しっかり休むことが効率アップのカギだろう

 

さらに、残り時間が可視化されているので、「そろそろ時間がないから、このメールは次の作業時間に入ってから返信しよう」など、仕事の組み立てもしやすい。時間を効率的に使うという意味合いでは、「残り時間の可視化」と「リピート計測」はかなり相性が良く、学習タイマーとしては圧倒的にオススメできる製品である。

↑本体裏面には磁石も備わっているので、視界に入りやすい位置にくっつけておけると尚良し。これも地味に助かる機能だ

 

いま最も「機能全部盛り」に近いが、欠点はないのか?

ただ1点だけ、ささやかなことではあるが……アラームオフ(本体側面で操作する)状態ではカウントダウン終了が分かりづらい、というのが残念な部分だ。

↑個人的に惜しいと感じた点が、アラームオフ設定。音がオフになるだけなので、気付いたときにはタイマーが終了してた、ということがあった

 

他機種だと、アラームオフの場合はLEDが光るなど、音以外でのお知らせ要素があったりする。「ビジュアルバータイマー」は、単に画面内で液晶が明滅するだけなので、集中していると終了に気づけないのだ。集中しているときほど、アラームが煩わしく感じてしまうこともあるので、できれば光って知らせる機能が付いていて欲しかったなぁ……と思う。

 

現時点で最強タイマーかも? 残時間のビジュアル化と作業&休憩をリピート計測できる「ビジュアルバータイマー」が最強たるゆえん