ついに現役引退を発表した長谷部。その決意にドイツ・メディアでも大きな話題となった。(C)Getty Images

 偉大なるサムライが、スパイクを壁にかける決断を下した。

 現地時間4月17日ブンデスリーガの古豪フランクフルトに所属する元日本代表MF長谷部誠が、現地で記者会見を実施。今季限りでの現役引退を発表した。

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「ただ、まだすべて(シーズン)が終わったわけではないです。今日発表して、チームとともにラストスパートに集中することを希望します」

 なんとも、“らしい挨拶”で引退の決意を口にした。

 2002年に浦和レッズでプロデビューを飾った長谷部は、J1優勝やAFCチャンピオンズリーグ制覇も経験。2008年1月にヴォルフスブルクに移籍すると、08-09シーズンには同クラブ史上初のブンデスリーガ制覇を経験した。

 その後、13-14シーズンのニュルンベルク移籍を経て、30歳となった14年の夏にフランクフルトへ加入。ボランチだけでなくリベロとしても地位を確立し、在籍10シーズンで公式戦303試合に出場。DFBポカール(17-18シーズン)、ヨーロッパリーグ制覇(21-22シーズン)に貢献するなど、「皇帝」の異名を持つレジェンドとしてファンやクラブ首脳陣の絶大なる信頼を得た。

 そんな40歳のレジェンドの引退は、地元ドイツのメディアでも大々的にピックアップされている。大衆紙『Bild』は「引退自体は何ら驚くべきことではない」と決意に理解を示したうえで、長谷部の人間性を高く評価した。

「いかなるスタッツよりも重要なのは、マコト・ハセベという素晴らしい人間性だ。彼のような模範的なスターは数えるほどしかいない。チームメイト、コーチ、クラブ役員を問わず、誰もが彼のプロ意識、労働倫理、謙虚さ、礼儀正しさを絶賛している。彼はフランクフルトに来てから公式戦303試合に出場している。これは考えられないような記録である」

 また、フランクフルトの地元紙『Frankfurter Rundschau』は「単なるサッカー選手を超えたプロフェッショナル」と長谷部の存在を強調。「ハセベはアスリートである以上に、アイドルであり、アイコンであり、レジェンドだった」と振り返っている。フランクフルトマルクスクロシェSDの「常に多くの選手にとって素晴らしいロールモデルであった」というコメントを紹介し、こう強調した。

「40歳になってもこのレベルでサッカーを続けている選手がいるのだろうか? ブンデスリーガにはあんな選手は一人もいない」

 今季終了後にはフランクフルトU-21チームのアシスタントコーチに就任する予定だという長谷部。彼は引退する最後の日まで彼は走り続ける。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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