水原氏による口座の不正利用を許していた大谷。その事情をドジャースの同僚が読み解いている。(C)Getty Images

 衝撃的な事実が次々と明るみになり、事態の深刻さはお茶の間でも広まった。大谷翔平ドジャース)の元専属通訳だった水原一平容疑者の違法賭博スキャンダルだ。

 世間からスーパースターを支える「盟友」と目されていた人物の裏切りだっただけに、ハレーションは大きく広まった。何よりも驚きだったのは、同氏が手を染めていた賭博の規模だ。

【関連記事】「証拠がないのに…」水原氏騒動  関与疑惑を向けた大谷に米司会者が”懺悔謝罪” 「ピート・ローズと同じ文章の中で言い続けた」

 現地時間4月11日に公開された検察側の訴状によれば、総損失額は1億8290万ドル(約279億8370万円)と判明。ギャンブルで勝った額を差し引いた純損失は4070万ドル(約62億2710万円)にまで膨れ上がっていたという。いわゆる借金の支払いに追われた水原氏は、大谷の銀行口座から不正に資金盗用。選手本人はもちろん、関係者でさえも関与できないようにし、1600万ドル(約24億5000万円)を身勝手に送金していたのである。

 事件発覚当初、水原容疑者の米スポーツ専門局『ESPN』に対する証言が二転三転した影響もあり、大谷にも疑惑の目は向けられた。世間で噴出した疑問の多くは「なぜあれほどの大金が口座から抜けていることに気付かなかったのか」というものだった。

 そうしたシビアな意見に対しては、現役メジャーリーガーが興味深い意見を口にした。現地時間4月15日に『Jom Boy』のポッドキャスト番組「The Chris Rose Rotation」に出演したドジャースタイラー・グラスノーは、「多くのアスリートが自分の口座をチェックしないものでしょ?」と問われ、こう切り返していた。

「ほとんどの選手がそうだと思うね。間違いないさ。実際、オオタニはログイン方法すらも知らなかったみたいだしね。口座の数も多いから、僕が知ってる選手のほとんどが、金銭面の問題は、何ひとつ知らないよ。何ひとつね。信頼できる人に任せてるよって感じなんだ」

 トップアスリートのリアルな事情を語ったグラスノーは、「できる限りストレスを排除したいし、お金の事をいちいち気にしていたくない。だから信頼できる人に任せる、自分はノータッチっていう選手がほとんど。それがこの業界では普通だと思う」と断言。そして、水原氏の不正利用を気づけなかった大谷の件に持論を展開した。

「多くの人が、『お金がなくなっている事に気づかないなんて信じられない』って言っていようと、僕は『あんたたちはアスリートの事を知らないでしょ』って思ってたね(笑)。野球だけじゃなく、多くのスポーツでほとんどの選手がそんな感じだからね。僕は今回の件は、オオタニの言葉を信じたよ」

 おそらく大谷もグラスノーの言う通り、「信頼をおける」として水原容疑者に口座の管理を託していたのかもしれない。その想いを裏切る行為だけに、今回の一件はやはり罪深い。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

なぜ水原氏の資金盗用を許したのか? 大谷翔平のド軍同僚が語った“リアルな事情”「オオタニはログイン方法すら知らない」