一見しただけでは用途不明な物が、思いもよらぬ活躍を見せるのはよくある話。本来の使用法を知って、膝を打った経験はないだろうか。

なお現在X上では、ハガキにプリントされた「謎の記号」の正体に、称賛の声が多数寄せられているのだ。

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■まさにアイデアの勝利

今回注目したいのは、フリーランスデザイナーのMaru.さんが投稿した1件のポスト。

「アイデアすぎ!」と綴られた投稿にはハガキの表面を写した写真が添えられており、切手を貼るべき場所に「面長になった漢字の木」のような謎の記号が確認できる。思わずプリントミスを疑ってしまったが、上に重なったハガキを見て即座に納得。

切手をかざる

こちらの記号は画家がキャンバスを固定する際に用いる「イーゼル」で、その上部に貼られた切手は「名画」へと早替わりするのだ。

 

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■日本郵便は「デザインに問題ない」

なんとも粋なデザインのハガキは見た者のハートを鷲掴みにしており、件のポストは投稿から数日足らずで2万件近くものリポストを記録。

他のXユーザーからは「お気に入りの切手を貼りたくなる、素敵なデザインですね」「これは貰った側も嬉しいやつ」「こういうちょっとした遊び心、素敵すぎる」「誰かにお手紙を出したくなる、素晴らしいハガキ」など、称賛の声が多数寄せられていた。

しかし一方で、日本郵便の定める「内国郵便約款」に違反するデザインでは…と、疑問を呈する人もチラホラ。

切手をかざる

同約款の第22条「私製葉書の規格及び様式」では「私製葉書(日本郵便以外が作成するハガキ)には、あて名の記載及び郵便切手の消印に支障がない程度の透かし又は浮出の文字若しくは図若しくは紋章を施すことができます」と規定している。

そこで、念のため「日本郵便株式会社」に同ハガキを確認してもらったところ、広報担当者からは「画像を拝見しましたが、郵便切手の消印に支障はなく、デザインそのものに問題はないものと思慮します」との回答が得られたので、心配していた人も安心してほしい。

そしてじつは今回、こちらのポストがきっかけで「SNSの奇跡」が起こっていたのをご存知だろうか…。

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■「製作者不明」と思いきや奇跡が…

ポスト投稿主・Maru.さんは、日頃より「デザインの価値観で繋がりたい」と感じており、アイデアの素晴らしいデザインや、気になるWebページ等の情報をXで紹介しているそう。そんなある日、件のハガキの画像を発見したのだ。

同デザインについて、Maru.さんは「ひと目見て『これはすごい』と思いました。何がすごいかって、どの切手を貼っても『絵になる』オールマイティなアイデア、少し馬鹿馬鹿しい絵の切手を貼っても妙に知的に見えてしまうユーモア、デザイナー事情である『切手からはみ出さないように切手位置にデザインを施す』というセオリーを破壊して『堂々と見せる』仕様。それがまた下品でなく、様々な角度でどこから見ても『めちゃくちゃ良い』かつ『分かりやすい』デザインでした」とベタ褒め。

発見当時が桜のシーズンだったこともあり、「見た人に喜んでほしいな」という思いで、前出のポストを投稿したという。

切手をかざる

すると自身が思っていた以上の反響があり、やや怖くなると同時に「デザインしたご本人にお知らせしたい」という思いが強くなっていく。しかしこちらのハガキは現在では販売が終了しており、製作者に辿り着くヒントは皆無に等しい状況だったのだ。

しかしなんとポストが広く拡散された甲斐あって、製作者をよく知る人物とのコンタクトに成功。その後、製作者本人にも連絡がとれたというから驚きである。

 

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■製作者は「驚いています」

時を同じくして記者も別ルートから製作者を特定しており、話題のハガキはデザイナー、現在は染色家としても活動するウチウ堂・川並良太さんが10年前に発表した作品と判明したのだ。

事の経緯を説明したところ、ウチウ堂の代表者は取材を快諾。

「確かに、私が10年前に発表した『切手をかざる』という作品で間違いありません。今回多くの方から、Xで話題になっているという連絡を頂きました。ご無沙汰していた友人などからも連絡があったり…。正直、10年も前の作品なので、反応の大きさに驚いてます」と、率直な感想を寄せてくれたのだ。

製作当時の2014年は消費税率が5%から8%に引き上げられた年で、全国的に不景気、悲観的なムードが漂っていた。そうした中で新料金・新デザインの切手が発行されるようになり、普通切手「花」のデザインの美しさが話題になる。

そこで2.6×2.2cmの切手を小さく美しい絵画に見立て、「飾る」という表現を作品にすることを閃いたのだ。

切手をかざる

なんとも粋なデザインには発表当初も大きな反響があり、ウチウ堂でも販売をスタート。しかし、諸々の作業が手間となり、在庫はあるものの販売を停止することに。古い機械を用いて「活版印刷」という方法で1枚ずつ手刷りで印刷しているため、大量生産もできないそうだ。

だが、今回の反響の大きさを鑑みてか「地元の就労継続支援B型事業所にご協力頂き、パッケージや発送などを業務委託することで、近いうちに販売再開を予定しております」と、なんとも嬉しいコメントも得られている。

素晴らしい作品を見つけてネット上に発信したら予想外のバズりを見せ、作者本人にもその投稿が届く…というのは、SNS界隈で稀に見られる現象。

たった1件のポストによって10年も前の作品に再び日の目が当たり、大きな再評価へと繋がり、デザイナー本人にまで多くの声が届き、再販にまで至った一連の経緯は「SNSの奇跡」と呼んで差し支えないだろう。

 

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力と機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

ハガキ表面に見つけた謎の記号、印刷ミスと思いきや… 意外すぎる正体が「天才のアイデア」と話題