前田拳太郎と奥智哉がW主演を務める「君とゆきて咲く~新選組青春録~」(毎週水曜深夜0:15‐0:45 テレビ朝日系 ※一部地域を除く)が4月24日(水)よりスタートする。

【写真】ネイビーのジャケットスタイルがりりしい奥智哉の全身ショット

同ドラマは、手塚治虫氏の隠れた名作を脚本・坪田文、演出・河合勇人が美しくも鮮やかに映像化。前田、奥らをはじめとするネクストブレイク俳優らが集結し、幕末の時代を駆け抜け、はかなく散っていった若き新選組隊士の青春を描く。

その放送に先駆け、父親を殺害した人物へ復讐するため、新選組の前身である壬生浪士組に志願した深草丘十郎を演じる奥にインタビューを実施。さまざまな話題作でめきめきと実力を付けてきた奥に、苦労したことや役作りで意識したことなどを聞いた。

■奥智哉、前田拳太郎との再共演に「深い縁を感じずにはいられません」

――前田さんとの再共演についての心境を教えください。

初めて共演した「仮面ライダーリバイス」(2021年、テレビ朝日系)では、お互いに演技や作品作りについて、右も左も分からない状態でした。

そんな僕らは、いろいろな現場でさまざまなことを学び、経験したのちに、今回の作品で再び共演することになり、さらにはダブル主演を務めます。拳ちゃんとは、深い縁を感じずにはいられません。

また、いろいろな現場で培ってきたお互いのお芝居を、ぶつけ合いながら物語を作り上げることができるという喜びがありました。

――奥さんにとって前田さんはどのような存在ですか?

お兄ちゃんが一番近いかもしれません。今回の作品では、同じシーンが多いですし、一緒に過ごす時間も長いので、お芝居について話し合ったりすることがすごく楽しいです。

お芝居以外でも「ダンス難しいね」とか、「夜ご飯は何を食べる」とか、たわいのない会話もできるので、友達のようなお兄ちゃんですね(笑)。

――ご飯に行く時は前田さんと奥さん、どちらから声を掛けるのですか?

流れですかね(笑)。撮影終わりに一緒に帰るのですが、「おなかすいた…」とどちらかが言うと、どちらかが店を見つけて、「じゃあ入ろう」という会話をして、ご飯に行くことが多いです。なので、約束をしてご飯に行くというよりかは、その時の気分やノリで行きます。

■時代劇ならではの苦労「いまだに抜刀や納刀は難しいです」

――刀を振ったりする練習はいつ頃からしていましたか?

クランクインする3カ月前くらいから基本稽古は始まっていました。僕と拳ちゃんは、クランクイン前から一緒に殺陣の稽古をしていました。

――前田さんが刀を使って戦うよりも抜刀や納刀の方が大変だとおっしゃっていたのですが、奥さんはいかがですか?

(笑)。実はそうなんですよ…。抜刀や納刀はまだまだ未熟なので、練習あるのみです。

――公式SNSにアップしている動画内で、奥さんは抜刀を軽やかに披露されていたので、苦労されているとは思いませんでした。

え! 見てくださったんですか? そう言われるとうれしいです(笑)。でも、いまだに抜刀や納刀は苦労していますし、難しいです。

――どういった点が特に難しいのですか?

僕たちがドラマで使用する刀は何種類もあるんです。本番のアクションで使うラバー刀、練習で使う竹を削り、刀身にして刀のように見せかけた竹光、限りなく本物の刀に近い形をしていて、重さも近いジュラ刀、これらは全て重さが異なります。

僕自身は、納刀する際、刀の重さを利用して納刀していたので、刀の重さが変わるとうまくいかなくなってしまうことがあります。竹光は、軽いので刀の力を利用するというよりも、自分の力で引っ張ったり、押しこんだりしなければならないんです。

刀ごとに種類が異なるために、しまい方、出し方も変えなければならないので、そこが難しいにつながっていると個人的には分析しています。

■「剣舞」シーンでは、キレの良さとしなやかさを意識しながら、刀を振り、舞っています

――今回の作品では、「剣舞」があるそうですが、どういった場面で披露されるのでしょうか?

詳しい話数はここでは言えないですが、どこかの話数で登場します。本当の歴史にもあるのですが、京都守護職の会津藩主・松平容保に、実力を認められたことで、新選組は京都の治安維持を任せられることになります。

本来であれば、殺伐とした仕事をこなしたことで実力を認められたのですが、今回のドラマは新しい時代劇を描くということで、認められたきっかけを「剣舞」としたそうです。

「剣舞」シーンでは、キレの良さとしなやかさを意識しながら、刀を振り、舞っています。みんなでたくさん練習をしたので、ぜひ注目していただければと思います。

――「剣舞」の他にもダンスや歌を披露していると聞いたので、勝手にこの作品はミュージカル要素が組み込まれているのかと思っていました。

そういう想像をしてしまうのも分かります(笑)。でも、「剣舞」は一度きりのビッグイベントとなっています。ダンスや歌を披露するのは、オープニングとエンディングです!

■苦手なことを乗り越えるには「ただひたすら練習するのみです」

――ダンスが苦手だとお聞きしました。前田さん同様に幼い頃から空手をやられていたり、体を動かすことが得意な奥さんでも、ダンスは難しいのでしょうか?

運動神経とダンスはどこかで直結してそうですが、まったくそんなことはありません(笑)。僕と拳ちゃんは空手をやっていたのですが、種類がまったく違います。

拳ちゃんがやっていた空手は、相手に当ててはいけない「伝統派空手」で、僕がやっていたのは、相手に当てて倒す「フルコンタクト空手(=実践空手)」です。

技の形を重視した空手をしていた拳ちゃんは、空手がダンスに変わっても、体の動かし方や魅せ方が分かっていたと思うのですが、僕は相手を倒すことをがむしゃらにやっていただけなので、ダンスではちょっと苦労しました…。

――苦手なことを乗り越える方法はご自身の中でありますか?

方法はないです。ただひたすら練習するのみです。今回のダンスに関しては、拳ちゃんからアドバイスをいただきました!回転するときに、軸がぶれてしまって苦戦していたら、拳ちゃんが、「腹筋に力を入れて回るといいよ」と教えてくれました。

拳ちゃん以外だと、南無之介役の羽谷勝太くんからも教わりました。「体感してから、体の芯にちょっと力を入れると回りやすいよ」というアドバイスを実践しながら、少しずつ克服しています!

■リアクションはいつでも新鮮なものにしようと心掛けていました

――監督から指導されたことや印象的なやりとりがあれば教えてください。

あるシーンで、やりたいことが頭にあったのですが、僕はうまく表現できなかったんです。そんな僕の姿を見た監督が、僕のやりたいことをくみ取ってくれて、「こうしたらいいんじゃない?」という言葉を掛けてくれました。

監督ご自身でも描かれている演出プランがあると思うのですが、それを俳優に押し付けることをしません。僕と同じ目線に立ってくれて、僕がどういう感情を持って、どう演じたいと考えているのか、それを表現するためにどうしたらいいのかなどを、一緒に考えてくださるんです。そんな監督がそばにいてくれることがすごく頼もしいですし、ありがたいです。

――脚本家の坪田文さんは、エモーショナルな部分を繊細に描き出すことで有名だと思うのですが、そういった部分を演じる上で意識したことや心掛けていることは?

特別にそういったシーンだからと、意識したことはないのです。でも、強いていうのであれば、相手のお芝居をしっかりと受け、そのお芝居に対して最善を返すということを大切にしていました。

撮影というのは、同じシーンを何回も繰り返します。なので、同じシーンを撮影すると、相手のお芝居に慣れてきてしまうんです。

それは仕方がないことではあるのかもしれません。でも、僕自身、リアクションはいつでも新鮮なものにしようと心掛けていました。そういう積み重ねが、物語に深みが増し、より良いものになっていればいいなと思います。

■現時点での僕の集大成が、「君とゆきて咲く~新選組青春録~」には詰まっています

――年齢以上の落ち着きと、どんどん出てくる豊富な知識に「人生何回目なの?」と思ってしまいました(笑)。

ありがとうございます(笑)。「仮面ライダーリバイス」以降、いろいろな作品に出させていただき、たくさんの方と出会えたことで、さまざまな知識や俳優とはこうあるべきだということを学ばせていただきました。そういった経験が、今の僕を作ってくれたのだと思います。

そして、現時点での僕の集大成が、「君とゆきて咲く~新選組青春録~」には詰まっています。新選組を好きな方はもちろん、それ以外のどなたでも楽しめる作品になるように、日々、全力で撮影を頑張っています。ぜひ、最後まで見ていただきたいです。

――最後に、奥さんのお気に入りのシーンを教えてください。

殺陣のシーンです。第1話の冒頭で登場するシーンは見応えがあると思います。丘十郎と大作(前田)の掛け合いもそうですし、これまで何があり、どうしてこうなったのかという物語の大事な部分でもあり、エモーショナルが凝縮されているシーンにもなっているので、楽しんでいただけたらうれしいです!

インタビュー・文=八神真子

撮影=山内洋枝

奥智哉/撮影=山内洋枝