筋肉を覆っている筋膜

日本で「筋膜」という言葉が一般的になってきたのは、実は最近のこと。英語の「Fascia」が和訳されたものです。

今までは、筋肉と包む膜だけを筋膜としていましたが、詳細な研究から最近では、筋肉や骨、内臓などあらゆる組織を覆い、必要なところは固定し、運動の時に一連となって動かし、内臓や体を形作っている繊維膜でもある…というところまで、概念が広がりました。ここでは、筋肉から靭帯まで、動きに関係する筋膜に限定してお伝えします。

筋膜はソーセージの袋の部分

筋膜は例えて言うならソーセージ、腸詰の腸の部分のようなもの。その上に脂肪や皮膚がのっています。筋肉はそれ単体では形を保てず、バラバラになってしまいます。それをカバーして、形を作っているのが筋膜です。

浅い部分の筋膜は、全身を覆うボディスーツのようなイメージ。深い部分の筋膜は、それぞれの筋肉を覆ったソーセージの束のようなイメージです。筋肉を包むだけでなく、靭帯や骨に固定するという役割も果たしています。

また、センサーもたくさん持っています。筋肉痛とは筋肉ではなく、筋膜の痛みのセンサーの働きなのです。

筋膜は主に、強さを持つコラーゲン繊維と、よく伸び縮みするエラスチン繊維で格子状に構成されています。この繊維状の筋膜は本来、整っていればよく伸びて、体にぴったり合っているもの。しかし加齢や運動不足などで、ある場所がほつれたり、縮んだりして、整っていないと硬い状態になります。

筋膜のほつれや縮みを整える

この筋膜のほつれや縮みを整えると、体が軟らかくなって、可動域が広がり、アンチエイジングにもなります。

それには、筋膜ラインを伸ばす運動をすることがオススメ。そして、ゆっくりと時間をかけた反復運動で、筋肉の温度を上げ、十分な水分を取ること。この運動は呼吸に合わせて、一つの動きにつき数十秒かけるのが理想です。

今回は、筋膜を整えるヨガのポーズを紹介しましょう。

両手を上げるポーズ(筋膜ヨガバージョン)

1:体全体を上下に引っ張る意識で立ち、尾骨を引き込みながら下腹部を引き締め、脊柱のラインを整えます。

2:手のひらを内側にして、両腕を耳横まで上げます。

3:上げきったら、手をパーの形にしたまま親指(母指球)を天井に向けます。これで体側の筋膜がより伸びます。

一日何回か、伸びをするような気持ちで行いましょう。オフィスでも立ち上がったついでに行うことで、座りっぱなしや立ちっぱなしの姿勢の解消になります。

筋膜のしくみを知ってアンチエイジングしよう!