半導体市場調査およびリバースエンジニア会社である加TechInsightsが同社の有料会員向けに2023年の半導体企業売上高ランキングトップ25の確定版を公開した。今回、同社より許可を得て、その概要を掲載する。

同社の半導体企業ランキングの特徴は、ほかの調査会社のものとは異なり、あえてファウンドリを含めて集計することにより、同社の主たる会員である製造装置・材料メーカーに対していかにTSMCの規模が大きいか(有望な取引先であるか)を示すことにある。このため、全体の売上高はダブルカウントとなる部分があるが、逆にファウンドリの売り上げ規模を知るには好都合なものとなっている。もう1つの特徴は、世界半導体統計(WSTS)の分類に準拠して、ICと非IC(オプトエレクトロニクス、センサ・アクチュエータ、ディスクリート:O-S-D)を分けて集計している点。CMOSイメージセンサは、どんなに集積度が高くても非IC扱いになるため、ソニーの売り上げのほとんどが非IC扱いとなるのはこうした事情がある。

そんなTechInsightsの2023年半導体企業売上高ランキングであるが、ランクイン企業そのものは2022年と変化はなかった。しかし、順位の変動は生じており、すべての半導体メモリ企業が前年比で2つ以上順位を下げるなど、全体で18社に変動が生じた。

25社の本社所在国・地域別内訳をみると、米国が13社と最多。次いで日本、欧州、台湾の各3社、韓国の2社、中国の1社となっている。日本の3社は、ソニーセミコンダクタソリューションズが17位(前年19位)、ルネサス エレクトロニクスが18位(同17位)、キオクシアが23位(同18位)となっている。

全体トップはTSMCで、売上高は前年比9%減と下げたが、前年トップのSamsung Electronicsが同34%減と大きく下げて3位に後退したこともあり首位に立った。TSMCピュアファウンドリであり、その売上高は各半導体企業へのいわば卸値であることを考えれば、その事業規模がいかに巨大であるか、ということが見て取れる。

2位となったのは同14%減のIntel、4位は前年8位のNVIDIAで、同102%増と驚異的な伸びを見せた。NVIDIAが発表した2024年1月期(2023年2月〜2024年1月)の売上高を見ると、IntelやSamsungの2023年通期売上高よりも多いことを、TechInsightsへの問い合わせしてみたところ、ランキング担当者からは「NVIDIAの暦年からずれた決算結果をIntelやSamsungの暦年の決算とあわせて調整したところ、NVIDIAの暦年売上高はIntelやSamsungに比べてわずかに低くなった。2024年第1四半期のNVIDIAのガイダンスは240億ドルであり、おそらくTSMC、Intel、Samsungを抜いてトップに躍り出るだろう」という返答をもらった。

なお、2023年は半導体業界全体が減速する中にあって、プラス成長を達成したのはNVIDIA、Broadcom、Infineon Technologies、STMicroelectronics、NXP Semiconductors、ソニーセミコンダクタソリューションズ、Microchip Technologyの7社のみだったが、このうち欧州を代表する3社がそろってプラス成長を達成した点は注目に値するだろう。
(服部毅)

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