長崎県の元新聞販売店主が、不要な仕入れを強制される「押し紙」被害にあったとして、読売新聞西部本社(福岡市中央区)を相手取って起こした訴訟の控訴審で、福岡高裁は4月19日、押し紙はなかったとする一審・福岡地裁判決を支持し、元店主側の控訴を棄却した。

判決によると、この販売店は2019年1月、前月比950部少ない1982部の新聞を注文したところ、読売新聞の担当者から「対応を検討するので、注文を送り直してもらえないか」という趣旨の発言をされ、前月比ゼロの2932部で注文し直した。

裁判で販売店側は、減紙の申し出の拒絶や注文部数の指示にあたり、独占禁止法違反だと主張。これに対し判決は、注文部数を出し直してから数日後、担当者が店を訪れ、月額50万円の補助金が決まったことから、発注のやり直しは対価の提供を前提とする双方の合意の上でおこなわれたと認定し、販売店側の主張を退けた。

また、長期間にわたって注文部数が変わっていなかった点などについても、販売店が注文した通りの部数が供給されていることや、折込広告料や補助金を維持するための販売店側の判断だった可能性もあるとの理由から、独禁法違反にはあたらないと判断した。

読売新聞の「押し紙」訴訟、長崎の元販売店が二審も敗訴…福岡高裁