インバウンドの外国人で、常に賑わう京都のローカルな飲み屋街といえば、町家の中に複数の酒場が入る「会館」が有名だ(写真は西院の折鶴会館)。京都駅にあるリド飲食店街、四条富小路の四富会館など、安く飲めることで、地元民の人気が高い。ところがその会館が今、値上がりしているという。昔から通っている常連客によると、

「京都はどんなに旅行者が訪れても、地元の人間に配慮して、飲食店が大幅に値上げすることはなかったんです。今、各地で話題になっているインバウンド価格も、京都では滅多にありませんでした。しかしここ最近は物価高の影響もあってか、飲食店が値上げしており、会館でも昔のように安く飲むことができなくなっていると聞きます」

 京都の会館は、海外のガイドブックにも取り上げられるほどの観光地となっている。コロナ流行前から夜な夜な、ガイドブックを持った外国人観光客で溢れていた。その時はインバウンド向けの値上げをしなかったというが、なぜ今さら…。とある会館に入る店のオーナーが口を開く。

「コロナ禍に入り、外国人がいっさい来なくなった時に、日本人の観光客が多く来るようになったんです。正直言うと、外国人よりも日本人の方がマナーが悪かった。外国人は写真を撮るものの、基本的におとなしいし、お金も使ってくれる。ガイドブックを見ているからか、マナーを守る人が多いんです。でも日本人は酔っ払って大声で騒いだり、1杯で何時間も粘る人もいます。会館に入っている飲み屋は一軒ずつが狭いから、新たに客が来たら奥に詰めて譲るのが一般的。そんなおもてなしの心が京都人にはあるんです。しかし、他県から来た日本人の観光客のマナーは、よくありませんでした」

 つまりは外国人ではなく、他県から来る日本人向けに値段を上げた、ということなのだ。一方でこっそりと、こうも耳打ちする。

「でも常連のお客さんが来たら、オマケで少し安くします」

 京都人のおもてなしの心は健在。日本人よ、きちんとマナーを守ってはどうか…と感じたのであった。

アサ芸プラス