3月28日香川県で粗大ゴミの中から現金146万円が発見されたというニュースが話題になった。このようなケースは、持ち主がゴミの中に紛れていた現金に気付かず、誤って捨ててしまったといパターンが多く、特に遺品整理の現場で起こりやすいようだ。

 仕事柄、遺品整理の現場に行くことが多い田村雅紀さん(52歳・仮名)は「ご年配の方が亡くなって、その家の荷物の処分を頼まれた時、現金が出てこない方が珍しいですね」と話す。そこで、これまでに田村さんが荷物の処分をしている最中に発見してきた、現金をはじめとした高価な品々に関する話を聞いた。

押入れから見つかった現金の総額は…

 普段は家のリフォーム業をメインとしている田村さん。ところが、仕事で付き合いのある不動産屋や知り合いのオーナーから「亡くなった方の部屋の荷物を片付けてほしい」と頼まれることがよくあるという。

「とある地主の男性が亡くなった際、その方の相続者の人から家の処理を依頼されました。そしたら、2千万円くらいの現金が部屋にあったんです。その後も荷物を処分するにあたって相続者の人と一緒に部屋の中を確認していたら、あちこちから現金が出てきたんですよ」

 後から出てきたお金も、もちろん相続者が回収。隅々まで確認した後、いざ本格的な作業に入ったところ……。

「旦那さんが寝ていた部屋の押し入れの奥から茶箱が出てきまして。その中に鉄の缶が2つあり、それを開けたら10万円ずつまとまってるお札がズラ~っと。思わず『あっ!』って声を上げちゃいました」

 その後も、作業を進めていくと様々な場所から1万円札や千円札がいっぱいに詰まったビニール袋なども発見され、最終的には総額で約1千万円ほどになったようだ。もちろん、そのお金も相続人に渡したという。

◆今だったら億超えの品も!

 これまでに現金を発見したのは1千万円が最高金額だが、それ以上に価値のあるモノが出てきたこともあるようだ。

「仕事で付き合いのある工務店が、とあるお寺さんから亡くなった母親の部屋の処理を頼まれたとのことで、ゴミ処理担当として自分も呼ばれたんです。そこのお寺は、ご主人であるお坊さんとその奥さん、ご主人の母親の3人で暮らしていました。ただ、奥さんがご主人の母親からモノ凄くイジメられていたそうで、『大嫌いだった姑の部屋のモノは全て処分してくれ』という依頼だったんです」

 大嫌いな姑の部屋ということもあり、見たくも触りたくもないので、一切部屋の荷物を確認することなく田村さんたちに依頼。そんな状況で作業を開始したところ、とんでもないモノが出てきたのだ。

「1キロのインゴッド(金地金)が14枚も出てきたんですよ。当時、金の価格は1グラムで6000円くらいだったから約8千万円分。今の価格だったら億超えです。奥さんはもうニッコニコでしたよ。その時の作業料金は相当上乗せしてもらったみたいです(笑)」

◆出てくる場所には一定の傾向がある

 長年この仕事をやっていると、何となく現金や高価なモノが保管されている場所が分かるようになったと言う田村さん。特に高齢の方が住んでいた家や部屋には一定の傾向があると語る。

「2階建ての一軒家の場合、基本は1階に高価なモノがありますね。歳を取ると階段の上り下りが億劫になるので、お年寄りの部屋って大抵1階にあるんです。それで、そのお年寄りの部屋の中でも、手が届きやすく目が届きやすい場所。少なくとも、踏み台を使わないと届かないような高い場所にはほぼないし、タンスに入れているにしても、しゃがまないと出し入れできない下の方ではなく、立ったまま出し入れできる引き出しなんかが多いです」

 さらに、保管しているわけではなく、うっかり忘れていたお金が残っている場所があるので、そこも必ずチェックしなければならない。

「あとは古そうなバッグの中ですね。特に、たくさんバッグを持っている方で収納スペースにまとめて置いてある場合。これは保管しているというより、何か必要があって銀行からお金を下ろしてバッグに入れておいたけど、忘れてそのまま放置してしまったパターンです」

◆「業者に丸投げ」は絶対にやめた方がいい理由

 最後に田村さんは、「正直、黙っていれば業者がもらってしまうこともできると思います。仮に遺族が立ち会っていても、声を出さなければポケットに入れられますからね。だから少なくとも業者に丸投げは絶対にしない方がいいです」と話した。

 両親や祖父母と同居しているならまだしも、離れて住んでいると家の状況を把握するのは難しいもの。特に、急に亡くなった場合はなおさらだろう。そんな時、面倒だからと業者に丸投げしてしまうと、思わぬ大金を捨ててしまう可能性があるので、しっかりと確認しておきたいものである。

取材・文/サ行桜井

【サ行桜井】
パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。

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