ウシエビ(ブラックタイガー)を細部までとことん再現した段ボール工作が驚きをもって迎えられています。あちこち動くわ殻はむけるわで本物そっくり!

【画像】本物さながら「段ボールのエビ」

 段ボール作家のしょうたダンボールマンさんが、2カ月かけて作り上げた作品。可動部分が188カ所もあり、身体の節や足はもちろん、複雑な顎の関節まで動きます。また、殻やカブトと中身の間には磁石が仕込まれていて、容易に脱着可能。下ごしらえの気分が味わえそうです。

 ディテールの再現も徹底されていて、例えば顎1本とっても、139パーツで構成。さらに、色違いの段ボールを使用し、着色なしで表現しているというのだから驚くほかありません。

 2022年の作品ですが、X(Twitter)のハッシュタグ「多分私しかやってない」に投稿したところ、あらためて話題に。「拡大するまでは本物だと思っていた」「そういうエビに見える」「職人魂を感じた」など、大きな反響を呼びました。

 編集部はしょうたダンボールマンさんに、制作の経緯など詳しい話を聞きました。

―― エビの可動箇所やギミックなどを、あらためて教えてください

しょうたダンボールマン 筋肉収縮ができない分、身の部分にちょうつがいを設けるなど、本物より可動箇所を多くしています。188カ所がエラまでフル稼働で、頭を外せばミソが見えますし、尻尾をツルッとむくこともできます! 全部で6つある顎もフルで動きますし、目玉も片方ずつ動き、第一触角のへこみに隠すこともできます。

 また、中腸腺という肝臓と膵臓(すいぞう)の機能を併せ持つ内臓や、頭(頭胸部)の殻や尻尾(腹部)は、ネオジム磁石で簡単に脱着可能です。頭と尻尾を切り離す際に付いてくる内蔵の一部を再現するために、ミソの中にはスプリングを仕込んでいます。

―― 作ろうと思ったきっかけは何でしょう?

しょうたダンボールマン 以前に伊勢海老を作ったときに実現できなかった、殻をむくギミックを実現したかったからです。伊勢海老は尻尾が太くて関節が曲がりづらく、現時点の技術では困難なため、今回は細くて動かしやすいブラックタイガーを作りました。

 また、エビが食べ物である以前に、特技や生き抜く知恵を持つ生き物と知ってほしかったこともあります。

―― 制作にはどのような段ボールを使っていますか

しょうたダンボールマン 一番好きなのはAmazonの配送用ですが、今回は黒い部分をZOZOTOWNとAmazonの矢印の部分、クリーム色はチャオチュール、黄色は白い梱包材の裏側など、7種類ほどの段ボールを使用しています。

―― エビのほかにも気に入っている段ボール作品があれば教えてください

しょうたダンボールマン 好きのなのは伊勢海老なんですが、一番かっこいいと思う生き物がカブトムシなので、2度目に作ったヘラクレスオオカブトがお気に入りです。

―― Xでの投稿には大きな反響がありました。そのなかで印象に残ったものはありますか

しょうたダンボールマン 八千代水産のかたからいただいた、「こりゃエビフライにしなきゃあかんですぜ」というリプライが印象に残っています。実は本当に衣まで付けてやりたかったのですが、完成してすぐ個展に持っていったので、時間がなく断念しました。次は挑戦したいです(笑)。

さばいたみたいにするりとむけます(画像提供:しょうたダンボールマンさん)