愛知県豊橋の町が、ゲームとコラボし「モンハン」一色になっています。仕掛け人JR東海新幹線も連携し、自治体を巻き込んだコラボ企画を進めるのにはワケがありました。

豊橋の街を「モンハン」がジャック!

発売20周年を迎えたカプコンハンティングアクションゲーム「モンスターハンター」。そのモンスターがいま、愛知県豊橋の町のそこかしこに“登場”しています。市内を走る路面電車までド派手な「モンハン」仕様になっていますが、実は仕掛け人は、JR東海です。

JR東海が「モンスターハンター20周年・カプコン40周年『豊橋へ一狩りいこうぜ!』」を愛知県豊橋市で2024年4月24日(水)から7月31日(水)まで実施しています。この取り組みは、地方都市を「エンタメ化」し、新たな地域創生の形を目指す取り組み。輸送手段となる新幹線にも新たな魅力が加わります。

豊橋市街では、ゲーム内の「クエスト」をイメージして市内各所を巡るデジタルスタンプラリー、地元名産品とコラボした商品の販売、カフェでのオリジナルメニューの販売などが行われています。また、JR東海グループのホテル「ホテルアソシア豊橋」では、一部客室がモンハンのコラボルームとなるなど、グループをあげた取り組みとなっています。

さらに、豊橋駅構内にはゲームに登場する猫のようなモンスター「アイルー」の記念オブジェが設置されたほか、市内各所にモンスターの展示物が登場。モンハンガチ勢」によると、市内に散りばめられたモンハンの要素は、ゲームの内容を「わかってるな」と思えるものなのだとか。

さらに、JR東海の担当者は「新幹線の移動時間自体を、特別な体験の場とする取り組みを行っていることが特徴です」と話します。新幹線の車内限定で楽しめる専用アプリを用意しており、新幹線が一定の速度に達すると、カプコンの歴代キャラクターに関するクイズに挑戦できます。このクイズや現地企画に参加することでポイントが貯まり、景品が当たるキャンペーンも開催されているなど、豊橋に着く前から企画を盛り上げているのです。

イベントの開始に先立つ4月23日には、豊橋市内でオープニングセレモニーが開催され、JR東海カプコンなどの関係者、豊橋市の浅井由崇市長らが出席。「アイルー」が市の新たな観光大使に就任したことが発表されました。

さらにモンハンガチ勢」として知られるタレントの後藤真希さんも駆けつけ、豊橋駅構内に設置される「アイルー」の記念オブジェの除幕式に参加。「街のあちこちにモンハンが散りばめられており、回りたくなりました」と話しました。

ところでなぜ、JR東海がここまで大規模なイベントを、豊橋を舞台に仕掛けるのでしょうか。

豊橋で「モンハン」イベントが開催されるワケとは?

JR東海は、コロナ禍で様々なイベントが中止となったことを踏まえ、2021年からエンタメ業界と共同で「推し旅アップデートキャンペーン」を推進。沿線に点在するアニメの「聖地巡礼」などを後押しすべく、リアルイベントを重視した企画を展開してきました。2023年頃からは「地域との連携」をより重視するようになったといいます。

その最新となる取り組みが、カプコンとのコラボ企画「CAPCOM TRIP TOKAI」です。東海エリアの地方都市を対象に、交流人口の増加や街の回遊性を向上させて賑わいを創出することを目指しています。

JR東海は、コンテンツを持つ企業と自治体がそれぞれ求めるニーズに対して、話題性を最大化できる取り組みや送客などを担当し、互いのメリットを引き出すような『マッチング』を行っています」(JR東海 営業本部需要創出グループ副長 福井一貫さん)

モンハン」のイベントを豊橋で展開する理由については「豊橋は新幹線やJR在来線、名鉄などの公共交通機関が充実しており、首都圏や関西圏からのアクセスが良いことがあります」とのこと。さらに、駅から半径2km以内に観光・文化・産業の要素が集中しており、様々な体験要素を提供することができる面も評価したといいます。

イベントを通して豊橋の魅力を持ち帰ってもらい、再び豊橋を訪れる「豊橋ファン」を醸成することで、新たな地域創生の形を目指すとしています。

セレモニーで挨拶した浅井市長は「今回の企画を最大限に活かし、街の発展につなげたいと考えています。多くの方に来ていただき、豊橋を舞台に思い出に残る素晴らしい『狩り』を楽しんでいただければ」と語りました。

豊橋の街なかのビルに、モンハンの「リオレウス」が(乗りものニュース編集部撮影)。