「グリーンカレー」をはじめとしたレトルトのタイカレーを手掛ける「ヤマモリ」が、タイフードを販売開始して今年で25年目を迎えます。
前回の記事では、ヤマモリ商品企画部長の弓矢健大さんから、タイフード事業の苦労をきいてきました(前回の記事→タイには「タイカレー」は存在しない…! 発売25年目のヤマモリ「グリーンカレー」の苦難)。
今回の記事では新作タイカレー「ゲーンパー」を実食させていただくことになりました。
ナベコ:ヤマモリさんは現在、9種類のレトルトタイカレーを発売しているとか。商品を教えてください。
ヤマモリ 弓矢さん:シリーズの最初から発売している「グリーンカレー」「イエローカレー」「レッドカレー」を始め、「プーパッポン」「マッサマン」「パネーン」「プリック」「マンゴー」を発売しています。今年新しく「ゲーンパー」をシリーズに加えました。
ナベコ:すごい、こんなにあるんですね! 名前をきいてピンとくるものもあるし、味が想像できないものもあるし……。
弓矢さん:ふふふ、例えば「マッサマン」は今でこそ日本でも知られていますが、我々が発売したころは知名度があまりなく、後から知られるようになりました。
ナベコ:へぇ! それでいうと、新作の「ゲーンパー」って聞いたことなかったです。
弓矢さん:ゲーンパーはハーブカレー。「ゲーン」がスープのような煮込み料理だとお話しましたが「パー」は森という意味なんです。つまり「森のカレー」。ぜひ召し上がってみてください。
ナベコ:(食べてみて)香りがすごく複雑ですね。
弓矢さん:そうでしょう。ゲーンパーは、もともと森の様々な食材を使用したタイ料理で、例えば蛇やカエル、イノシシなどのジビエを使用していたそう。ハーブを豊富に使用することで、独特のくさみを抑えたのでしょう。
ナベコ:ひえ、蛇やカエル! ヤマモリさんのゲーンパーには……。
弓矢さん:もちろんそのようなジビエは入っていないです。動物性の具材は鶏肉。その他、スズメナス、ヤングコーンを使用しています。
ナベコ:スズメナスって?
弓矢さん:タイのナスです。大きな豆みたいな。
ナベコ:あ、グリーピースかと思っていました!
弓矢さん:よくそう間違われます。タイでは非常にポピュラーな食材なので、弊社のグリーンカレーにも入っています。
ナベコ:スズメナス、食べると柔らかいんですね。……ゲーンパー、おいしい! ココナッツミルクが入ってないので、最初タイカレーらしくないなという感じもしたんですけど、ハーブの香りがすっごく感じられて、爽やかです。あと、こう、ピリリと胡椒がきいていて、それがアクセントになっていますね。
弓矢さん:ココナッツミルクが入ってない分、ハーブの香りを強く感じられるようになっています。プリッキーヌ、ホーリーバジル、こぶみかんの葉などを使用しています。
ナベコ:そして、食べ進めていくと辛い!
弓矢さん:はい。辛さレベルが5段階中5なので。しっかりと辛味も楽しんでもらえます。
ナベコ:サラサラしてて、スープみたいなんだけど、しっかりご飯も進む。ヤングコーンなどの食感も楽しいです。こんなタイカレーもあるんですね。
■次ページ[日本でまだ知られていないタイカレーとは?]
ナベコが大好き!一番辛い「プリック」
ナベコ:私は辛いのが好きなので、今回食べてみて「プリック」が気に入りました!
弓矢さん:それはなかなかですね。タイ語で「プリック」は赤唐辛子。それと黒胡椒がきいていて、かなり辛さが強烈な商品になっています。
ナベコ:ほんと、強烈です! ヒリヒリした感じが段違いで、9種類味見した中で一番辛く感じました。辛いもの好きにはたまりませんが……ヒ~!!
弓矢さん:そうですよね。辛さレベルとしては、「グリーンカレー」や先ほどの「ゲーンパー」同じ5ですが、それより辛く感じられるかと思います。でも、タイの方に召し上がってもらうとこれが一番評判がいいんですよ。
ナベコ: やはり本場だと辛いのが好まれるんですね~。
弓矢さん:そうみたいですね。文化の違いもあって、発見があるとおもしろいなと思います。
弓矢さんが商品化に意欲を沸かすタイカレー
弓矢さん:タイカレー、つまりゲーンは実に様々な種類があって、こうやって商品化していますが、まだまだ日本では知られていないゲーンもあるんですよ。
ナベコ:どんなものですか?
弓矢さん:例えば、かなりマニアックなんですが、発酵タケノコを使用したゲーンがあるんです。香りをかぐと最初は非常に強烈に感じられて「これ本当に食べて大丈夫?」と思うほどなんです。が、食べ進めるうちにとてもおいしくて、クセになるんですよ。
ナベコ:え、どんな香りなんだろう……! とても気になります。それも商品化する予定なんですか?
弓矢さん:実は、社内で発酵タケノコを使用したタイカレーのアイデアを出した時に、当時の上司から「やめてくれ!」と一喝されてしまいました。ずいぶん特徴的な香りですから。
ナベコ:反対されるほどなんですね!
弓矢さん:ですが、私は機会があったら挑戦したいなと思っています。とはいえ、原料としての発酵タケノコの調達が難しい。日本の基準をクリアしたものではないと商品化はできないし。いろいろとハードルはあります。そのうち実現できたら……と、胸に秘めております。
ナベコ:弓矢さんの情熱が伝わって欲しいですね~。タイフードを日常的にもよく食べるということですが、お酒にも合うとおっしゃってましたね。
弓矢さん:はい、タイのフードはお酒のおつまみとしてもおいしいですよね。例えば、「ガパオごはん」(ガパオの素)で鶏肉ではなく豚肉を炒めて、レタスに巻くとビールのおともに最高ですよ。
ナベコ:いいおつまみ情報! 今日はありがとうございます。タイフードをお酒のおともにもどんどん活用していきたいです!
以上、ヤマモリ取材レポートでした。もともと醤油を作っていた会社がタイフードを手掛けることになる変遷や、タイフードの奥深さを知ることができました。
ヤマモリは現在「グリーンカレー」を始めとするレトルトのタイカレー各種やスープやライス、調味料など30種近くのタイフードを手掛けています。
タイの味を食べたくなったらチェックしてみましょう!
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