4月、新入社員が今年もやってきました。そこで「驚きの新入社員」の記事の中から、反響の大きかったトップ10を発表。第6位の記事はこちら!(初公開2023年6月12日 集計期間は2018年4月~2023年12月まで 記事は取材時の状況)
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 新生活や転勤など、意外と多い「引っ越しの機会」。今年の春も、多くの学生が希望に胸を膨らませ、社会人の一員となりました。とりわけ地方から都市部の企業へ就職した人たちにとっては、故郷を離れ、大都会へ引っ越すことになり、いろいろな意味で一大イベントになります。

 今回は、そんな地方住みのフレッシュマンが就職を機に上京した際の出鼻をくじかれたエピソードです。

◆念願の内定…憧れた東京への引っ越し準備

 お話を聞いたのはこの春、大学を卒業したという光輝さん(仮名・22歳)。第1志望だった機械メーカーへの内定を獲得し、新生活へ期待を膨らませていました。そんな光輝さんの就職先は東京。地元・福島を離れ、都内の社宅に引っ越しすることになったそうです。

「春休みに友達と観光も兼ねてですが、わざわざ社宅の下見に行くほどでした。本当に楽しみで。引っ越し準備には念を入れました」

 ずっと実家暮らしだった光輝さんにとって初めての引っ越し。しかも憧れの大都会、東京へ。理想の一人暮らしを描きながら、特に念入りに準備したそうです。

 総務課から内定者に配布された書類には、利用できる複数の引っ越し業者がリストアップされていたので、光輝さんは入居希望日に合わせて業者を選定し、余裕を持って計画を立てました。勤務開始までには生活を整えられるように3月の終わりには引っ越しが完了できる手筈でした

◆待てど暮らせど引っ越し業者が来ない…

 いよいよ引っ越し当日。実家から持ち出す荷物を業者に引き取ってもらい、光輝さんは新幹線移動します。現地には過去にも行っているので、迷うことなくスムーズに社宅まで到着することができました。

 入居先の部屋に入ってみると、もちろんまだまっさらで何も置かれていません。部屋を一周しこれから自分の城になる実感に浸っていた光輝さん。ふと時計を見ると搬入予定時刻までに時間があったので、近所にあったファミレスで業者の到着を待ちつつ、時間を潰すことにしたそうです。

1時間経っても何も連絡がなくて、道が混んでいるのかなと気長に待ってみたんですが……。2時間過ぎた頃からこれは何かアクシデントがあったのかなとかなり焦ってきたんですよ」

 業者の行方を不安に思い、スマホを手に取る光輝さん。まさに電話をかけようとしたその時に、見知らぬ電話番号から着信がありました。

◆引っ越しスタッフから電話!その内容は?

「案の定、引っ越しスタッフの方からの着信で、ちょうど今、搬入が完了したので、現場確認をして欲しいという内容でした

 光輝さんは、長居したファミレスを後にして入居予定の407号室に向かいます。ただ、その建物の周辺には引っ越し業者のトラックはなく、なんとなく不安になりながら部屋の扉を開けた光輝さん。目の前に広がった光景は、ファミレスにいく前の空っぽの状態のままでした。

「もう半分パニックですよ……。だって荷物どころか、部屋は全くの空だったんです。慌ててさっきの着信にかけ直したんです。そしたら引っ越しスタッフの方は不思議そうに『え? ご指定のお部屋にお届けが完了していますよ……』と冷静に返答されました」

◆まさかの!引っ越し先住所間違い

 まさに光輝さんの頭の中は“ガーン”な状況で、何が起こっているのか全く理解できなかったそうです。

「あのー、すみません。引っ越し先の住所どこになってます?」

 まさかと思いきや、光輝さんは念のために、引っ越しスタッフに確認したそうです。すると「2丁目2−1−407」と返答がありました。慌ててカバンの中に入れてあった賃貸契約書を確認した光輝さん。なんとそこには「1丁目1−2−407」と書かれてあったのです

◆自分が書き間違えていたのは明らかで…

 もうすっかり辺りは夕暮れ時。緊迫した状況に反して春の心地よい風が吹いていたそうです。光輝さんは、引っ越しスタッフとの通話をいったん切り、頭の中を整理し始めます。しかし、整理するも何も自分が引っ越し業者に申し込む際に間違った住所を書いたことが原因であることは明確でした。

 さらに、ほとんどの引っ越し業者は依頼人の立会いを必要としていますが、なかには立会不要という業者もあり、光輝さんはまさにその会社に当たってしまったようです。ひとまず荷物が運び込まれた場所まで移動し、引っ越しスタッフの方に作業完了のサインをして帰ってもらったそうです。

「普通はこんなことないと思うのですが、あとからよく確認したら、ウチの会社はたまたま同時期に少し離れた2つの場所に社員寮を竣工させたそうなんです。だから、番地こそ違うものの、建物の外観や入り口の会社名のプレートなど、疑う余地はなかったと思います」

◆まさか2度引っ越しするとは…

 光輝さんは翌日総務課に自身の失態を報告し、自腹で急遽荷物を移動させたといいます。

「まぁ、なんて言うんでしょうかね……。入社早々こんなことしでかすなんて、当分は笑い物ですかね。でも、これも神様が与えてくれた僕への試練だと思って心機一転がんばります。みなさんも、確認行為は重要ですよ!(笑)」

 少し恥じらうような笑顔を浮かべながら、光輝さんは自らの失敗経験を語ってくれました。今回のようなミスが起こらないようにみなさんも気を付けたいですね。

<TEXT/べるくちゃん>

ベルクちゃん】
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営

※画像はイメージです