大型連休の一つ、ゴールデンウィーク(以下、GW)が間もなくやってくる。旅行などの計画を立てている方もいるだろうが、なかには「思いっきりパチンコ・パチスロを打つ!」なんて人もいるだろう。

 だが、GWは昔からよく言われている、パチンコ店の3大回収時期(他はお正月とお盆)の一つだ。実際のところ、ホールは回収率を高くしているのだろうか? 

 そこで、大手チェーンの営業統括部長のA氏に、GW期間中のホール事情から、今年ならではの傾向についてお話を伺ってみた。

◆「大型連休=回収期間」はもう古い?

 土日や連休はパチプロ以外の一般の客が多く来店するため、店としては回収しやすくなるワケだが、実情はどうなのだろうか。

「昔と違って、GW中だからといって、いつもより回収するなんてお店は少なくなったんじゃないですかね。まあ、なかにはガッツリ抜くお店もあるかもしれませんが、少なくともウチは普段と変わらない出玉率で営業しています。むしろ、普段の土日のほうが少し辛めに設定していますね」

 これは、GW中に打つ予定のパチンコファンにとっては嬉しい事実。だが、回収しやすい環境なのは昔と同じなのに、なぜ出玉率の傾向が変わってきたのだろうか?

「たしかにGW期間中、稼働率は上がりますが客層は変わらないんですよ。一年を通して、この時期にしか打ちに来ない一見のお客さんがたくさん来るなら『回収しちゃえ!』ってなるかもしれませんが(笑)。普段から来店してくれているお客さんばかりだから、ガッツリ回収するワケにもいかないので」

出玉率の常識は変化しつつある

 一見のお客さんが減り、日頃から来店してくれている常連のお客さんがメインとなれば、回収しづらいのも頷ける話である。さらに、最近では普段の営業においても、これまでとは異なった方針のお店があるという。

「お店によっては、平日は回収に徹して稼働率の高い土日に出す、なんてところも最近はよく見かけますよ。お店の看板機種に客を付けようと思ったら、稼働率が上がる日に出したほうがより効果的なんです。例えばですが、出玉率100%で営業した時に、売上が3万円の台は7500発の出玉を積むことになるじゃないですか。これが、稼働率が高くて売上が6万円だったら、1万5000発の出玉を積むことになります。同じ出玉率でも『玉が出ている感』はかなり違ってきますので」

◆今年のGWで狙い目となるマシンは?

 スマスロ化によって出玉性能が格段に上がったパチスロに、「ラッキートリガー」の搭載で一撃出玉が強化されたパチンコ。そんな魅力的なマシンが並ぶ今年のGW。ずばり、どのマシンが狙い目となるのかA氏に直撃した。

「パチンコだったら、やっぱりお店が看板機種にしていることが多い、エヴァ』、『リゼロ2』、『海物語でしょうね。特に『大海物語5』は増台もされているし、夏か秋頃に海シリーズの新しい機械が出るという噂もあるので、それを踏まえて、海を大事にしているお店は特に期待できるんじゃないですかね」

 では、スマスロが好調なパチスロの方はどうだろうか? GW前となる4月22日に、人気シリーズ最新作「押忍!番長4」も導入されたが……。

「『押忍!番長』は、GW前に導入される台数が少ないので、放っておいても稼働するようなら回収するお店があるかもしれません。どうしても打ちたい人は、新台をちゃんと甘く使うお店で打つのが良いでしょうね。それによって、稼働が落ちるのが、おそらく『北斗の拳』。北斗シリーズは7月に『北斗無双』の新台も用意されているので、GW中の『北斗の拳』は、ちょっと荒い使い方をするお店があるかもしれないので注意が必要です」

◆復活の兆しが見え始めている!?

 スマスロやラッキートリガーのおかげで、全般的に稼働率が上がり利益も増加。それに伴い、しっかりと還元しているお店もあり、特にライバル店が密集している地域などは、出玉でお客さんの取り合いをしているところもあるそうだ。

「やっぱりスマスロのおかげで稼働は上がったし、パチンコのラッキートリガーも予想に反して動いているので利益も増えています。よっぽどアコギなお店か倒産間際のお店以外は、それなりに還元していると思いますよ。それこそ、競合店とバチバチにやり合っている地域なんか、利益率6%くらいで営業していると思いますよ。ただ、最近は荒い機械ばかりなので、それがお客さんには伝わりにくいんですよね」

◆高齢のお客さんにも回収するとバレるように

 パチンコ人口が減り続ける中、今でも残っているお客さんはいわゆる「ヘビーユーザー」。その分、やはり目が肥えているとA氏は言う。

「最近は、高齢のお客さんでも意外と回転率を気にしているんですよね。最初の1万円くらいまでは回転数を数えていたりするし。さすがにボーダーラインや期待値とかまでは意識してないだろうけど、体感的に『あっちの店より回る』、『昨日より回らない』くらいは感じていると思います。だから、あからさまに回収するとバレてしまうんですよ」

◆月初は回収するパチンコ店が多いワケ

 他の業種同様、パチンコ店も利益の目標金額を設定している。当然、回収一辺倒な営業をしていたら、お客さんが離れ、ゆくゆくは目標を達成できなくなるので、回収日と還元日を織り交ぜながらトータルで目標金額を目指していくのが基本だ。

「月初はちょっと慎重になるお店が多いんですよね。初手から目標に届かない日が続いて、中旬、下旬で回収しようと思ったら不測の事態が起こってノルマを達成できず……なんてことがあったら困るので。だから、例えば1が付く日が強いお店でGWの5月1日に稼働が高くなるお店は、そこで回収して5月の余力を作っておくなんてところがあるかもしれません」

◆桜の開花が出玉率に影響する!?

 また、世情によっては、どんなに努力しても稼働が上がらないこともある。そんな時、日本人としてあるまじき考えをしてしまうことも……。

「あと、基本的に花見シーズンは土日でも稼働が上がりません。特に今年は桜の開花が遅れたじゃないですか。それで予定が狂って想定以上に売上が落ちたお店は、GW入りの4月下旬に回収する可能性もあります。おそらく、桜が満開の時に『早く散ってくれないかな~』なんて考えていたと思いますよ(笑)。他にも、オリンピックサッカーワールドカップが開催されると稼働が落ちるので、日本人としてはもちろん勝って欲しいけど……お店の売上を考えると『そろそろ負けてくれてもいいかな』って、心の底から応援できないホール関係者は多いでしょうね(笑)」

◆お店選びの重要性は今でも変わらない

 もちろん、今回の話がすべてのパチンコ店において当てはまるワケではなく、いまだに「大型連休はガッツリ回収!!」なんてお店もあるだろう。昔から、パチンコで勝つには「台選びよりも店選びが重要」とよく言われてきたが、その点は今でも変わっていないようだ。

「薄利で営業したほうが結果的には儲かりますから」と語るA氏。ただ、昨今の機械は薄利で使っていても、それがお客さんに伝わりづらい荒いゲーム性ばかりなのが玉に瑕。とはいえ、稼働が上がり利益が増えた時に、しっかりとお客さんに還元しているお店が少しでも増えてくれることを、一ファンとしては切に願うところである。

取材・文/サ行桜井

【サ行桜井】
パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。

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