潮干狩りシーズンを迎えつつある中、休日にハマグリアサリを採りに行く計画を立てている家族もいるかもしれません。

せっかくのレジャーを楽しむためにも、知っておきたいのがそのルール。

弁護士ドットコムには、「潮干狩りで、蛤を一個見つけて手にしたところで、海上保安庁の人に捕まりました」「潮干狩りをしていたら検挙されました」といった相談が複数寄せられています。

潮干狩りでどのような行為をしたら問題になるのか。山崎喜代志弁護士に聞きました。

●使う道具が禁止されているものも

ーー潮干狩りで禁止されていることはなんですか?

海で生き物を採る時は、その種類や場所、時期、使う道具について注意する必要があります。

潮干狩りの場合は主に貝を採ることになると思いますが、都道府県の漁業調整規則で使用できる道具が決まっています。

例えば、神奈川県漁業調整規則では「熊手は幅15センチ以下のものに限る」などとされています。

「じょれん」という一度にたくさんの貝を採ることができる道具は、持ち込みが禁止される場所が多いので注意しましょう。

ーー潮干狩りで採った貝を売ることは大丈夫ですか?

趣味や遊びで行った潮干狩りで採った貝を売ることは法律で禁止されているわけではありません。

ただ、その量が趣味というレベルを超えるほど多く、儲けることが目的となっている場合は食品衛生法の営業の許可などが必要になる可能性がありますが、普通は売れるほどは採れません。

●ルールを事前に確認しておく

ーー浜辺に打ち上げられた海藻を勝手に持ち帰ったらどうなりますか?

漁業法には、漁業権として「一定の水面において特定の漁業を一定の期間排他的に営む権利」が定められています。

打ち上げられた海藻に漁業権が設定されている場合は、勝手に持ち去ることは漁業権を侵害することになるので注意が必要です。

都道府県ごとに規制が違うことがあるので事前に確認すれば無難です。

ただ、「法律を知らなくても罪は免れない」というのが建前ですが、うっかりしていていきなり逮捕されたり処罰されたりするということはありません。

いきなり逮捕されるのではあまりに物騒です。通常、「採ってはいけません」といった看板が出ていたり、組合の関係者などが「採ったら処罰されますよ」といって巡視したりしています。

ただ、漁業法や漁業調整規則といった法律を知らなくても、悪いことをしているといった認識があれば処罰されることになりがちです。

専門的には「違法性の意識」というのですが、これによって善良な市民がいきなり前科者になることを防ぐわけです。

●警察ではなく海上保安部が捜査

ーー漁業法や漁業調整規則に違反したらどうなりますか?

漁業法違反では、処罰するためには地元の漁業協同組合などの告訴が必要です。一方、都道府県の漁業調整規則の罰則は告訴が不要です。

最近は不漁のせいか、とくに伊勢エビやアワビなど高級食材については、漁協の組合長さんに告訴は勘弁してほしいとお願いしても告訴されてしまうことが少なくありません。

潮干狩りは浜といっても海上の扱いになるため、警察署ではなく海上保安部が捜査することになります。そのため漁業法などに違反した場合、海上保安部から事情聴取を受けることになります。

少しでも不安を感じたら都道府県の担当課に確認すれば安心です。海はみんなが使う場所なので、ルールをきちんと抑えた上で潮干狩りを楽しんでください。

そして、もし海上保安部からの呼び出しを受けるなどした時には、 すぐに弁護士に相談しましょう。善良な市民が不当な扱いを受けることは仕方がないではすまされません。

【取材協力弁護士】
山崎 喜代志(やまさき・きよし)弁護士
交通事故、男女トラブル、家事、労働など幅広い分野を扱っています。どのようなことでも、遠慮なくご相談ください。釣り好きの弁護士として、姫路では知らない人はいません。
事務所名:山崎喜代志法律事務所
事務所URL:http://www.yamasaki-lawoffice.jp/

「ハマグリ採ったら、捕まった」潮干狩りの注意点は? 弁護士は「種類や場所、時期、使う道具に気をつけて」