モペットの「無免」「ノーヘル」「歩道走行」など取り締まりが話題! 同じペダル付きの乗りものだけど「アシスト自転車」とは何が違う?

この記事をまとめると

◾️ペダルがついているが、電動モーターのみで走行できる2輪車をモペットという

◾️モペットは法的には原動機付き自転車として扱われるため、運転免許と装備の着用が必要

◾️最近ではモペットに対する取り締まりが強化されている

モペットと電動アシスト自転車の区別とは?

 2024年4月10日に渋谷で行われた取り締りで話題となった「モペット」。この「モペット」とは一体どのような乗り物なのでしょうか。今回は、モペットの概要や法律上における取り扱いなどについて解説します。交通違反で取り締まられないようにするためにも、正しい知識を身に着けておきましょう。

モペットって何?

 そもそも「モペット」とは、「電動自転車」や「フル電動自転車」などと呼ばれている乗り物です。警察での呼び方やニュース・報道などでは「ペダル付き原動機付自転車」といわれています。

 警視庁の資料によると、ペダル付き原動機付自転車とは、

道路交通法施行規則第1条の2に規定する大きさ以下の総排気量または定格出力を有する原動機を用い、かつ、レールまたは架線によらないで運転するクルマ(軽車両、移動用小型車、身体障害者用の車、遠隔操作型小型車及び歩行補助車等を除く)であって、当該車に備えられたペダルを用い、人の力によっても走行させることができるものをいいます」

 とのことです。つまり、モペットはペダルが備え付けられている原動機付自転車(原付)で、ペダルを漕いで走行することもできる原付となります。

 また、モペットは原動機付自転車(原付)という扱いになるため、運転免許が必要となり、ナンバープレートの取り付けや自賠責保険への加入などもしなければなりません。

2024年4月10日には警視庁が取り締まりを行ったことが話題に

モペットの法規上の扱いについて

 2024年4月10日警視庁は渋谷でモペットの取り締まりを実施しました。わずか1.5時間程度の取り締まりで、無免許運転やヘルメット未着用などにより5人が検挙され、ニュースになっていたのを見聞きした方も多いのではないでしょうか。

 モペットの取り締まりは過去にも行われており、違反者のなかには「自転車だと思っていた」や「免許が必要だと知らなかった」などと口にしている人もいます。このようなことから、モペットという乗り物が原付に区分される乗り物であることを知らない方も多いといえるでしょう。

電動アシスト自転車との違いは?

 モペットは、原動機付自転車(原付)であるものの、ペダルが取り付けられているため、自転車のように見えたり、自転車だと勘違いしたりする方もいるようです。とくに気をつけなければならないのは、電動アシスト自転車とモペットの違いです。では、電動アシスト自転車は、どのような定義がされているのでしょうか。

モペットの法規上の扱いについて

 警視庁によると「電動アシスト自転車」は、「走行中にペダルを漕ぐ力を電動モーターが補助(アシスト)する仕組みの自転車であり、道路交通法施行規則で駆動補助機付自転車としてアシスト比率等の基準が詳細に定められています。この基準を満たしたものでなければ自転車として道路を走行することはできません」と記載されています。

 また、電動アシスト自転車については、以下のような基準が定められています。よって、基準に該当しない車両は、電動アシスト自転車として認められません。

【駆動補助機付自転車の基準(電動アシスト自転車の基準)】

アシスト範囲
時速24km/h以上のときはアシストされないこと

<アシスト比率(人の力に対する電動モーターが補う力の比率)>
・時速10km/h未満のとき:最大で1対2
・時速10km/h以上24km/h未満のとき:速度が上がるにつれアシスト比率が減少
・その他、詳細は道路交通法施行規則第1条の3をご確認ください

警察が公表している「ペダル付き原動機自転車」の定義

 電動アシスト自転車に基準があることがわかったところで、「ペダル付き原動機付自転車」の条件を見ていきましょう。愛知県警によると、ペダル付き原動機付自転車は次のように定められています。

モペットの法規上の扱いについて

【ペダル付き原動機付自転車

1.ペダル付き原動機付自転車

ペダル付き原動機付自転車とは、道路交通法施行規則第1条の2に規定する大きさ以下の総排気量または定格出力を有する原動機を用い、かつ、レールまたは架線によらないで運転する車(自転車、身体障害者用の車いす及び歩行補助車等を除く)であって、当該車に備えられたペダルを用い、人の力によっても走行させることができるものをいいます。

なお、人の力を補うため原動機を用いるものであって、道路交通法施行規則第1条の3で定める基準に該当する自転車(いわゆる「電動アシスト自転車」)は、道路交通法自転車として扱われるものであり、ここでいうペダル付き原動機付自転車ではありませんので、ご注意ください。

2.道路交通法上の取り扱い

(1) ペダル付き原動機付自転車は、原動機を作動させず、ペダルを用い、かつ、人の力のみにより走行させることができるものであったとしても、道路交通法第2条第1項第10号に規定する原動機付自転車に当たります(車両の種類は当該車両の属性をあらわすものであり、例えば、原動機を作動させて「自動車」を発進させ、その後原動機を停止させて惰性走行した場合であっても、「自動車」を通行させていることとなるのと同様です)。

したがって、ペダル付き原動機付自転車は、車道の通行等原動機付自転車の通行方法に従うことが必要です。

(2)ペダル付き原動機付自転車は、原動機により走行することができるだけでなく、ペダルを用いて人の力のみによって走行させることもできる構造ですが、いずれの方法で走行させる場合もペダル付き原動機付自転車の本来の用い方に当たることから、ペダル付き原動機付自転車をペダルを用いて人の力のみによって走行させる場合も、原動機付自転車の「運転」に該当します。

 したがって、原動機を作動させず、ペダルを用い、かつ、人の力のみによって走行させる場合であっても、原動機付自転車を運転することができる運転免許を受けていることが必要であり、乗車用ヘルメットの着用等原動機付自転車の運転方法に従うことが必要です。

検挙されないために

 ペダル付き原動機付自転車(いわゆる「モペット」)は、原動機付自転車に区分される乗り物です。そのため、運転免許が必要となるだけでなく、自賠責保険への加入、ナンバープレートの取り付け、ヘルメットの着用なども必要となります。モペットによる交通違反をしないためにも、車両の区分や運転するための条件などをしっかりと確認してから乗るようにしましょう。

モペットの法規上の扱いについて

モペットの「無免」「ノーヘル」「歩道走行」など取り締まりが話題! 同じペダル付きの乗りものだけど「アシスト自転車」とは何が違う?