労働時間が制限されるのに5時間も待機……ってこれじゃ荷物が運べない! トラックドライバーの荷待ち問題が深刻すぎる

この記事をまとめると

■トラックドライバーの荷待ち時間が問題となっている

■平均は1時間34分で、タイミング次第では5時間も待たされたというケースも

■荷待ち時間が発生する理由や対策について解説する

4〜5時間待たされることも少なくない

 国土交通省によれば、トラック輸送の荷待ち時間は平均すると1時間34分というものだが、実際には4時間、5時間待たされたというケースも少なくない。これは渋滞などで到着時間が読みきれないため、早めに出発して途中での休憩もそこそこに、目的地周辺で時間調整するという状態も含まれているのであろう。

 トラック輸送は、渋滞などのハプニングによって到着までに費やす時間が大きく左右される。にもかかわらず、荷主や荷受け人は時間どおりの到着を望むから、こうした問題が起こるのだ。自分が運転した場合、どれだけ時間が左右されるかわからないにもかかわらず、「トラックドライバーは運転のプロだから」という理由で、無茶な要求を押し付けるという構図ができ上がるわけだ。

トラックドライバーの荷待ち問題とは

 働き方改革に対応するため、政府は「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を作成し、荷待ち時間や荷役時間の短縮も荷主側に求めるとしているが、これはあくまでガイドラインであり、法的拘束力はない。

 そうなると、荷主の自浄努力に期待するしかないのだが、それですむのであれば、こんな問題はハナから起こらないのだから、正直いって期待するのは難しい。

 荷主と荷受け側の連携も薄く、どちらも自分たちに都合のいい時間指定をするために、間に入った運送業者が時間調整のための荷待ちを強いられているのが現状だ。下請けが多重になりやすく、荷主と実際の運送業者との接点が希薄になってしまうのも、現場での状況が掴みにくく交渉が難しい原因となっているようだ。

労働時間の制限により廃業する業者まで出始めている

 それでも2024問題が直前に迫り、いよいよトラックドライバーの労働時間が限られるため、引き受けられる仕事に限りが出てくることになる。中小の事業者のなかには、対応は無理だと廃業するところも出てきている。

 自社の荷物を引き受けてくれるところがなくなってから慌てても遅いから、いまからでも荷主は運送業者と良好な関係を構築していくほうがいいだろう。適正運賃を支払い、適切な配送時間の指定などをすることで信頼関係を築いていくことが、安定輸送につながる。

トラックドライバーの荷待ち問題とは

 いままで下請けに仕事を流してきた元請け運送業者も、下請けが減少してしまうと自社で賄える荷物の量が限られてくる。自社の車両やドライバーを増やせればいいが、そんなに簡単に解決できれば、そもそもこの問題は起こらないのだ。

 下請け構造を廃止して、中小運送業者が連携して仕事をこなすシステムを作ることが、ひとつの解決策となりそうだ。現在でも仕事を融通するシステムは存在するが、それでも1社で完結する仕事ばかりであり、共同配送や中継輸送といった、複数の運送業者で荷物を運ぶシステムを確立させることが必要だ。

 ガイドラインを策定するだけでなく、そうしたシステム作りの後押しをすることも、政府や国土交通省の役割として期待したい。

トラックドライバーの荷待ち問題とは

労働時間が制限されるのに5時間も待機……ってこれじゃ荷物が運べない! トラックドライバーの荷待ち問題が深刻すぎる