もうさすがに「広瀬すずの姉」としか認識されないなんてことはないはず。


いまの広瀬アリスさんは“恋愛ドラマの女王”になる可能性を秘めた活躍ぶりだからです。


今回は年間約100本寄稿するドラマ批評コラム連載を持つ筆者が、広瀬アリスさんの役者人生を振り返っていきます。


◆3年連続でGP帯の恋愛ドラマ主演




4月8日(月)にスタートした「月9」最新作『366日』(フジテレビ系)に主演中の広瀬アリスさんですが、実は3年連続でGP帯連ドラの恋愛ドラマ主演を務めています。


2022年は『恋なんて、本気でやってどうするの?』(フジテレビ系)、2023年は『マイ・セカンドアオハル』(TBS系)、そして今年の『366日』。


そんな役者として脂の乗っているアリスさんですが、数年前までは「広瀬すずの姉」というイメージが色濃い印象でした。


◆芸能界デビューは姉が先だったが…
広瀬アリス・すず姉妹の芸能界デビューは姉のアリスさんが先。ティーン向け女性ファッション誌『Seventeen』(集英社)で人気モデルとして活躍していました。


そしてすずさんは、ある日モデルとしてイベント出演していたアリスさんを応援に行った会場で、スカウトされたことがデビューのきっかけです。


このようにアリスさんが人気モデルだったことが、すずさんも芸能界入りする要因となったのですが、CMや映画、ドラマに引っ張りだことなり大ブレイクを果たしたのはすずさんが先。ですから忌憚なく言わせていただくと、すずさんが大ブレイク中の数年間、アリスさんは「広瀬すずの姉」と見られることも多かったのです。


◆俳優として大ブレイクする妹




すずさんは2013年に連続ドラマ『幽かな彼女』(フジテレビ系)で女優デビューし、わずかその2年後の2015年には『学校のカイダン』(日本テレビ系)で連ドラ初主演を飾っています。


同じく2015年公開の是枝裕和監督作品『海街diary』では日本アカデミー賞の新人俳優賞にノミネート。2017年公開の是枝監督作品『三度目の殺人』では、日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞を受賞。


2019年には朝ドラなつぞら』(NHK)のヒロインに抜擢され、全話平均視聴率21.0%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)の大ヒットに導くなど、俳優としてまばゆいほどのスポットライトを浴びていくのです。


◆姉も“売れない役者”ではなかった
一方のアリスさん。決して“売れない役者”というわけではありませんでした。


たとえば2010年には当時15歳で昼ドラ『明日の光をつかめ』(フジテレビ系)に主演していますし、2014年はドラマ『ルーズヴェルト・ゲーム』(TBS系)に出演、映画『銀の匙Silver Spoon』でヒロインを好演。


2015年と2017年に放送されたドラマ『釣りバカ日誌』シリーズ(テレビ東京)では明るく可憐なヒロインを演じ、2017年度後期の朝ドラ『わろてんか』(NHK)ではコメディエンヌとしての才能も高く評価されました。


◆自分のペースで役者業に邁進




とはいえ、同時期のすずさんのブレイクっぷりがヤバすぎたのです。アリスさんも着実に役者としてステップアップしていたのですが、すずさんが飛び級的に激売れしていったため、「広瀬すずの姉」という見られ方をしてしまうのも否めませんでした。


しかし、アリスさんとすずさんは仲良し姉妹として知られており、当の本人たちはお互いの人気はどちらが上かなんて、さして気にしていなかったのでしょう。


腐らずに自分のペースで役者業に邁進していたアリスさん。2018年の深夜ドラマ『探偵が早すぎる』(日本テレビ)で滝藤賢一さんとダブル主演したり、2021年のGP帯ドラマ『知ってるワイフ』(フジテレビ系)でヒロインを演じたりと、キャリアを積んで結果を残していきました。


それが2022年から3年連続の恋愛ドラマ主演に繋がっているのです。


◆『366日』をヒットに導けるか
現在主演中の月9『366日』は、HYの名曲「366日」の世界観から着想を得たオリジナルラブストーリーで、その悲劇的展開で視聴者を釘付けにしています。恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーをしている筆者の、今期の恋愛ドラマでダントツのイチオシ作。


366日』がヒットすれば本格的に“恋愛ドラマの女王”と呼ばれるようになってくるかもしれません。


ただアリスさんはコメディエンヌとしての才能があり、シリアスな演技にも定評があります。ですから恋愛ドラマに限らず刑事もの、医療もの、弁護士ものといったお仕事系ドラマの主人公を演じる彼女もぜひ観てみたいものです。


<文/堺屋大地>


【堺屋大地】恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『smartFLASH』、『文春オンライン』、『集英社オンライン』などにコラムを寄稿。LINE公式サービスにて、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。Twitter(@SakaiyaDaichi)。



『 born to be happy 』(ワニブックス)