フードロスの軽減に対する関心が高まっている昨今。見た目が多少崩れていても、味に変化のない「わけあり商品」や「見切り品」を優先して買う人も多いのでは。

なお以前X上では、無印良品の大人気商品『不揃いバウム』シリーズに対し、疑問の声が多く上がっていたのをご存知だろうか。

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■「揃ってるやつはどこに売ってる?」

事の発端は3月中旬、とあるXユーザーが投稿した「無印良品の不揃いバウム、めっちゃ美味いがそもそも揃っているやつはどこに売ってんの?」といった旨のポストである。

不揃いバウム

『不揃いバウム』と言えば無印を代表する大人気商品。携帯しやすいサイズ感、軽食やおやつにうってつけなボリューム、そして「バナナ」「紅茶」を筆頭としたバラエティ豊かなラインナップが魅力のシリーズだ。

定番味のパッケージには「焼きムラや凹凸、変形など、おいしさに関係なくはじかれていたものも活かしました」と記されており、「不揃い」のイメージと合わせて「不揃いバウム=見切り品の一種」と認識している人もいるのではないだろうか。

…と、ここで浮かんでくる疑問が、前出のポストの内容。即ち「揃っている(形の整った)バウムはどこに売っているのか?」という疑問である。

 

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■「売ってる説」と「売ってない説」が浮上

通常、見切り品の隣に規格内の商品が陳列されるケースが多いが、無印店内の『不揃いバウム』コーナーの付近に、そうした商品は見受けられない。…と言うより、店内を散策しても正規規格、言わば「不揃いでないバウム」の姿は影も形も見当たらないのだ。

不揃いバウム

同様の疑問を抱いた経験がある人は少なくないようで、X上では「不揃いでないバウム」に関する話題が沸騰。

中でも「(揃っているバウム商品は)無い。不揃いになったやつを売ってるんじゃなくて、形を揃えるコストを省いてその分安くしようみたいな商品」という意見が多くの注目を集めた。

しかし、こちらに対して「あるよ」と、形が整ったロール状のバウム商品の画像をアップするユーザーも現れ、状況は一転。だが、無印良品公式サイトを確認すると、現在これらの商品はプレーン味しか販売されていないようだ。

前出の通り『不揃いバウム』シリーズが多数の味を展開していると考えると、形が整ったロール状バウムも、それに伴う味展開がある…と考えるのが自然ではないだろうか。

不揃いバウム

そこで今回は「不揃いでないバウム」の行方を探るべく、無印を運営する「株式会社良品計画」に取材を敢行。事情を聞くと、なんとも納得の回答が得られたのだ。

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■綺麗に焼き上がっても「不揃いバウム」だった

無印公式サイトでは「約20年前から販売をしているスティック型のバウムクーヘン。商品名に『不揃い』とつくようになったのは2017年以降のこと。その背景には、検品基準の見直しがありました」と、『不揃いバウム』の歴史について説明している。

加えて「これまでは、焼き上げる際にかたちが崩れてしまう両端の部分や、焼きムラや凸凹があり見た目が不揃いなものは、弾かれていました。おいしさは変わらないのに見た目のために捨てられる、そんな“もったいない”をなくすために、バウムクーヘンの端まで商品として生かしたのが『不揃いバウム』です」と、その特徴を紹介。

「このように製造工程上のロスを減らすことで、価格も抑えることができました。見た目は不揃いでも、おいしさは変わりません。この考えを元に、食品の大切さを伝えていきたいと考えています」と、企業としての理念を明記していた。

これらを見ると、やはり「不揃いでないバウム」商品があって然るべきとも思うが…良品計画の回答によると、無印ではそうした商品を別個に販売していないと明らかに。正確に言うと「不揃いでないバウム」も『不揃いバウム』として販売しているのだ。

不揃いバウム

今回、X上での話題となった発端は「揃っている(形の整った)バウムの製造過程で不揃いになったバウムを商品化したのが『不揃いバウム』のはず」と言う考え方。

一見すると筋が通っているように思えるが『不揃いバウム』」はそもそも、他のバウム商品製造の過程で不揃いになってしまったバウムを使用した商品ではない。いずれも、元から『不揃いバウム』という商品として販売するべく製造されたバウムなのだ。

良品計画の担当者は「(綺麗に焼き上がったバウムも)不揃いのものも含め、全て商品化するという考えのもと販売しております」と説明している。

言われてみれば『不揃いバウム』の中には「これのどこが不揃いなんだ?」と、首を傾げたくなるレベルで形の整った個体も決して珍しくない。

不揃いバウム

商品名から「不揃いバウム=全て不揃い商品」と認識していた人は「不揃い(であっても弾かれなかった)バウム」と考えると、イメージしやすいだろう。

 

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■「バナナバウム」以外もぜひ!

不揃いバウム

無印ガチ勢は各々、MFF(マイ・フェイバリット・不揃いバウム)を持っているが、世間的には「バナナバウム一強」のイメージが強いはず。

もちろんバナナ味の魅力を否定するつもりはないが、バナナ1種類だけで満足していては非常に勿体無く、ぜひ奥深い『不揃いバウム』の世界に触れてほしい。

不揃いバウム

個人的には抹茶の苦味とバウムの甘みを高次元で融合させた「宇治抹茶バウム」と、バウムクーヘン本来の濃厚さが楽しめる「発酵バターバウム」がツートップである。

不揃いバウム

また、同シリーズは季節限定メニューも見逃せない。4月3日から「塩チョコバウム」「塩バニラバウム」、10日から「甘夏バウム」が発売されているので、季節の味わいを堪能しよう。

 

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

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