相場の環境認識を行う際に、水平線を用いる人は多いでしょう。直近の高値や安値、長期足と短期足など、使う場面や使い方はさまざまですが、数あるテクニカル分析のなかでも非常にシンプルで使い勝手のいい分析法です。今回は、プロトレーダーが水平線を使う際にはなにに着目しているのか、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏が解説します。

テクニカル分析のひとつ「水平線」を活用したトレード

テクニカル分析のひとつである水平線は、昔から多くのFXトレーダーに用いられています。価格帯に線を引くだけという非常にシンプルな構造なので、初心者トレーダーからプロトレーダーまで幅広い層に支持されています。

水平線は、シンプルでありながらチャート分析をする際に多くの気付きを与えてくれます。しかし、水平線からさまざまな情報を読み取れるかどうかはトレーダー次第です。プロトレーダーの場合、水平線から「レジスタンスもしくはサポートになり得る」という分析だけでなく、サポート前後で強いトレンドが発生するかどうかまでを読み取っています。

今回は、相場の環境認識の前提条件である水平線が、トレード戦略を練るうえでどのように活躍しているのかについて、相場心理をもとに解説します。

節目の価格と相場心理

水平線は、直近の高値や安値など、節目の価格帯に引くことが多いでしょう。チャート分析のなかでも比較的簡単に引けるラインなので、初心者トレーダーでもプロトレーダーと同じ水準でラインを引くことができます。

そのため、流通量が多い通貨は、多くのトレーダーが注目する共通の価格帯が存在します。注目が集まる価格帯では、個人トレーダーや機関投資家などさまざまなトレーダーの注文が殺到しています。その結果、注目度の高い水平線付近は、レジスタンスやサポートとして機能しているのです。

節目の価格は、大衆心理にも大きな影響を与えます。個人トレーダーの多くは、節目の価格がブレイクするラインで損切り注文を置く傾向があります。節目のライン付近で損切りや新規注文を入れることは、自分のトレードルールとして確立しやすいため、教科書的なトレードを実現することができます。

しかし、大衆心理が集中しやすい水平線付近では、初心者トレーダーの損切り注文を狙うような突発的な値動きが起こりやすい傾向があります。プロトレーダーは、現在起きている水平線付近での値動きが突発的なものなのか、トレンドとして継続する可能性が高いものなのかを判断してトレードを行っています。

プロトレーダーは水平線とローソク足の相関を見ている

プロトレーダーは、水平線付近の値動きを確認するだけでなく、水平線周辺のローソク足の動き方にも着目しています。ローソク足は、相場の勢いと心理状態を確認する際、トレードするうえで非常に役立ちます。1本のローソク足で始値と終値、高値と安値を理解することができるのです。

たとえば、始値から終値までの実体部分の大きい陽線でローソク足が確定した場合、上昇を目指す勢いは非常に強く、上昇トレンドが続く可能性が非常に高いといえるでしょう。また、大きな上昇を伴って高値をつけたものの、陰線で確定した場合、高値付近での売り圧力が非常に強く、簡単に高値を更新することは難しいと判断することができます。このようにローソク足1本を見るだけでも、相場の動きを客観的に推測することができるのです。

プロトレーダーは、特に注目度の高い水平線付近のローソク足の動きを慎重に確認し、水平線を越えてトレンドが継続するのかどうかを判断します。水平線をレジスタンスやサポートとしか判断しない初心者トレーダーと比べて、水平線とローソク足を掛け合わせて判断するプロトレーダーのトレード成績がいいことは納得がいくでしょう。

FXで利益を上げるためには、テクニカル分析の掛け合わせが重要なのです。

長期の足になるほど注目度が高くなる

ローソク足は、長期足になればなるほど、長期的で感度の高いトレンドを把握することができます。そのため、水平線を引く際も長期の足のチャートから見ていくとよいでしょう。日足レベルのチャートで水平線を引いた場合、その水平線は非常に多くのトレーダーが注目している価格帯である可能性が高いです。

そのような長期足で機能する水平線は、大衆心理が集まりやすい価格であるため、大きなレジスタンスやトレンドを加速する引き金になる可能性があります。短期足と長期足でうまく水平線を使いわけてトレードすることが、日々のトレードをプラスの利益で収める鍵になるでしょう。

水平線を引くだけで終わらないトレーダーになろう

今回は、水平線の実用性について解説しました。初心者トレーダーでも比較的簡単に引ける水平線ですが、水平線付近の価格変動と組み合わせることで、感度の高いトレードを実現することができます。

安定した利益を出すプロトレーダーは、水平線を引くだけで終わらせず、水平線付近のローソク足を見て、客観的にトレード判断をしています。なかなか安定した利益が出せていない人は、いつものテクニカル分析に水平線を組み合わせてみると、また違った観点から相場を客観的に分析できるかもしれません。  

清水 一喜

株式会社ソーシャルインベストメント

執行役員

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