長年、会社に尽くしてきた人に対して払われる退職金。老後の生活人としてあてにしている人も多いでしょう。そのようななか「公務員の退職金は高額で羨ましい」という話もチラホラ。実際はどうなのでしょうか。総務省の資料から紐解いていきます。
「公務員の平均給与全国1位」と騒がれた「埼玉県越谷市」だが
総務省から公表された4月1日時点のラスパイレス指数によると、全国市区町村(政令指定都市含む)でトップは「埼玉県越谷市」で103.3でした。ラスパイレス指数は、国家公務員行(一)の俸給月額を100とした場合の地方公務員一般行政職の給与水準で、以下のように説明しています。
職員構成を学歴別、経験年数別に区分し、地方公共団体の職員構成が国の職員構成と同一と仮定して算出するものであり、地方公共団体の仮定給料総額(地方公共団体の学歴別、経験年数別の平均給料月額に国の職員数を乗じて得た総和)を国の実俸給総額で除して得る加重平均なんとも難しい表現をしていますが、とにかく国はラスパイレス指数=100に近いのが望ましいとしています。
【全国市区町村「ラスパイレス指数」トップ20】
16位「奈良県天理市」101.8
17位「千葉県長生村」101.8
※2024年4月1日時点
そこでトップになった越谷市。「基本給はほかの自治体と比べ高いが、その他の手当てはほかの自治体を下回っている。給与制度がほかの自治体と異なるため、越谷市が全国1位となった」と説明しています。この説明にある通り、給与制度が異なるのに、共通の指数に当てはめることに何の意味があるのか」という声も少なくありません。ちなみに、ラスパイレス指数の全国最下位は「東京都青ヶ島村」で73.3でした(関連記事:『全国市区町村「公務員の平均給与」ランキング…1~300位』)。
2024年全国市区町村別「公務員の平均給与額」ランキング
少々、理解が難しいラスパイレス指数。単純に支給額で比べてみましょう。まず4月1日現在における職員の基本給である「給料月額」の平均。トップは「千葉県白子町」350,299円。唯一の35万円オーバーでした。
【全国「公務員の平均給料月額」トップ10】
6位「兵庫県多可町」345,974円
さらに月ごとに支払われることとされている扶養手当、地域手当、住居手当、特殊勤務手当、 時間外勤務手当等の諸手当の額を合計した「平均給与月額」で比べてみましょう。トップは1位「千葉県佐倉市」490,469円。ちなみに「埼玉県越谷市」は40万1,552円で、全国364位でした。
【全国「公務員の平均給与月額」トップ10】
10位「三重県津市」469,948円
全国の公務員の給与。ここで論じているのは、あくまでも平均額。その地域で働いている公務員の学歴や年齢、勤続年数などによって変わってくるものであり、地域によって諸手当も異なるので、国やほかの地域と一概に比べることはできません。
また公務員の給与は民間と比べても高いといえるものではありませんが、大切なのは地域住民の評価。地域ごとの事情を知っている住民が納得・理解できていれば、給与分以上のサービスが展開されている証拠だといえるでしょう。
[参考資料]
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