引っ越しするときは、なにかとお金がかかる。出費しかないと考えている人も多いようだが、そうでもないようだ。今回は、「勇気を出して確認したら、1万円近くも損失を防げてラッキーでした」と話す、森野道子さん(仮名・32歳)に詳しい内容を聞いた。

 ひとつの場所に定着するのが好きではない森野さんは高校卒業後、親の反対を押し切り、パソコンが1台あれば仕事ができるフリーランスとして生きていこうと決意。1年半ほどで会社員なみに稼げるようになり、お世話になった実家を出て一人暮らしを開始した。

◆気分で居住地をコロコロと変える

実家を出たあとは、旅をしているような感じで移動しながら暮らしたいという昔からの夢を実現。他人とのコミュニケーションが苦手で、他人とのかかわりは最低限にしたいという性格も手伝い、気分でコロコロと居住地を変えていました」

 最近は家具・家電付きの物件も増えているので困ることも少ないというが、「1年未満での引っ越しには違約金として1~2か月分の家賃を払うことが多いので、もったいないと感じます」と振り返る。

「でも、その土地土地で仲良くなった人が急に距離を詰めてくると、それがストレスになって引っ越しています。ただ、最初から1年未満で引っ越そうと決めているわけではないので、ホテルやウィークリーマンションは家賃物件と比べると、やはり割高です」

◆段ボールも再利用「狙い目は…」

 そのため賃貸物件の違約金を支払うのは仕方がないことだと割り切り、転々としている。そんな森野さんは「違約金以外にはムダな出費をしないよう心掛けています。そのためか、出費を減らすスキルは引っ越すたびにアップしています」と話す。

たとえば少し前までは、本や小物などはゴミに出すとお金がかかる自治体も多いので、引き取ってもらえるものを事前に調べてリサイクルやリユース活動をしている団体へと持ち込むなどしていました。いまは、なるべく買わない。自称、ミニマリストです」

 自家用車で引っ越すため、荷物を詰める段ボールもスーパーやドラッグストアへ行って無料でもらっています。「野菜の段ボールは内側に野菜クズが残っていることもあるので、お菓子や飲料が入っていたものが狙い目です」とのこと。

「引っ越し後の段ボールは、自治体のエコステーションに出せば環境のためにもなって一石二鳥です。こういったムダ出費を防ぐ方法を調べるだけでなく、確認をすることも大切だとしみじみ感じた経験がありました。それが火災保険です

◆1年未満の解約で1万円の返金が

 1年未満で引っ越すことが重なった森野さんは「引っ越すたびに2年契約の火災保険を払うのはもったいないな」と、ふと思ったのだ。そして「積立式の生命保険なら、解約したらお金が戻ってくるかもと思った」と語る。

「火災保険は掛け捨てになるから戻ってないのかも?と思ったり、残り1年以上あるから返金されたら嬉しいなと思ったり、いろいろな考えが頭を巡りました。でも、それまで一度も火災保険の返金を受けたことはありません」

 仕事のことやパソコン上では言いたいことを伝えられる森野さんだが、対面や電話は苦手。確認しようか迷ったが、勇気を振り絞って火災保険の会社に確認してみたところ、1年未満の解約ということで1万円ちかくの返金があったとか。

◆電話も5分程度だった

「不動産会社のノリは苦手でしたが、解約の連絡や手続きは保険会社とのやり取りになったため、それほど緊張せずに話せました。しかも電話で話した時間は5分程度だったので、問い合わせてよかったと思っています

 このことがあって以降、何か疑問に思ったときは勇気を出して確認するように。「いまでも、こんなことを聞いたら図々しいかも?と考え込んでしまうこともありますが、確認しないと損することもあるので、自分に合った窓口や方法を探してみてほしいです」と言います。

 世の中には、ちょっと確認をするだけで損失を防げることもある。疑問に思ったり違和感を覚えたりしたときは、一度きちんと確認してみてはいかがだろう。もちろんすべてのケースで返金に応じてもらえるわけではないが、もしかしたら森野さんのように嬉しい収入があるかもしれない。

<TEXT/山内良子>

【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意

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