ヘリコプターにもハイブリッド化の波が。

過去には472㎞/hという速度記録を出したことも

ヨーロッパの航空機メーカー、エアバスは2024年4月25日、技術実証用ヘリコプターレーサー」が初飛行に成功したと発表しました。

初飛行は30分ほどで、その間、機体の挙動などが確認されたとのこと。エアバスでは今後2年かけて飛行限界を徐々に広げ、その高速飛行能力を実証していくそうです。

レーサー」は、機体上部に備えた離着陸用のメインローターのほかに、推進用のプロペラを胴体左右に1基ずつ計2基装備するのが特徴です。こうすることで既存のヘリコプター最高速度260km/h程度なのに比べ、「レーサー」は400km/h以上の巡航速度を発揮することが可能になるといいます。

加えて、巡航時には、搭載する2つのエンジンの片方を停め、残るエンジンひとつで電気モーターを駆動させ、発生した電力でエネルギーをまかなう革新的なハイブリッド電気システムを搭載することで、排出ガスの削減だけでなく、燃料消費も抑えられ、さらに騒音も低減できるとしています。

本機の開発は、ヘリコプターのエンジン排出ガスを削減するためにエアバスが推し進めるイノベーション・プロジェクトのひとつです。

本プロジェクトは、ヨーロッパ13か国40社のパートナー企業が参加する「欧州リサーチクリーンスカイ2」の枠組みで行われているとのこと。

エアバスヘリコプターズのブルーノ・エヴェンCEOは今回の初飛行を受けて、「このデモンストレーターが(ヘリコプターの)高速性を開拓し、燃料消費の削減に貢献するエコモードシステムを開発するのを見るのを楽しみにしています」と述べています。

なお、エアバスは、同様の構造を持つデモンストレーター用の複合型ヘリコプター「X3」を使って、2013年に472km/hという回転翼機の速度記録を達成しています。今回の「レーサー」にも、このX3で検証された航空力学が、開発に生かされている模様です。

初飛行に成功したエアバス・ヘリコプターズの技術実証機「レーサー」(画像:エアバス)。