タンパク質やビタミンAなど、さまざまな栄養素がバランス良く含まれているのが「卵」です。「卵かけご飯」「目玉焼き」「ゆで卵」など、さまざまな食べ方が可能で日々摂取している人は多いと思います。

 ところで、生卵とゆで卵とでは、どちらの方が長く保存できるのでしょうか。調理方法によって、摂取できる栄養素に違いはあるのでしょうか。管理栄養士の桜井このさんに聞きました。

ゆで卵に調理すると菌が繁殖しやすくなる可能性も

Q.市販の卵の賞味期限は、パックしてから約2週間後に設定されているようです。生鮮食品であるにもかかわらず、なぜ賞味期限が長いのでしょうか。

桜井さん「卵の賞味期限は、腹痛や下痢を引き起こす『サルモネラ菌』という菌が繁殖せずにいられる期間として定められています。卵の場合、殻で守られている上に、卵白には殺菌作用のある『リゾチーム』という酵素が含まれているため、他の生鮮食品と比較すると菌が繁殖しにくいです。

ただし、卵の殻にひびが入ってしまった場合や、割って中身を出してしまった場合は、空気に触れて菌が繁殖しやすい状態になっているため、すぐに調理した方が良いですね」

Q.ゆで卵に調理した場合、どの程度保存できるのでしょうか。

桜井さん「卵をゆでる時間のほか、『常温か冷蔵か』『殻をむいているか、そのままにしているか』によって期間は大きく変わります。基本的には、硬くゆでて殻をむかないまま冷蔵保存すると、より長く保てるようです。冷蔵室が10度の冷蔵庫の場合は2~3週間、25度以上の室温では3~7日程度が菌が繁殖しない期間でしょう。

誤解している人が多いのですが、実はゆで卵にした方が長期保存できるというわけではありません。先述の殺菌作用があるリゾチームは熱に弱いため、ゆでてしまうと効果が発揮できないほか、ゆでることで殻の内部に結露が発生し、菌が繁殖しやすくなる可能性もあります。保存の状態にもよりますが、ゆで卵は早めに食べてしまった方が良いですね」

Q.卵の調理方法によって、摂取できる栄養素は大きく変わるのでしょうか。

桜井さん「そうですね。熱に弱い水溶性のビタミンを最も摂取しやすいのは、卵かけご飯のように生の状態で食べる方法です。また生卵や半熟の卵は消化が良いため、胃腸が弱っているときにも良いのではないでしょうか。

火を通した場合、消化が遅くなる分、腹持ちが良くなるというメリットはあります。また、水溶性ビタミンは失われてしまうものの、卵そのものの栄養価は高いため、大きなデメリットというほどではないと思います。油溶性のビタミンは油を使って調理した場合に効率よく摂取できますね!」           

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 気軽に調理しやすく、おかずにも主食にも、スイーツにも頼りになる卵。意外と賞味期限は長く設定されていますが、実は調理しない状態の方が長く保てるのだそうです。加熱した方が賞味期限が長くなるわけではないため、一度調理したものはできるだけ早めに食べ切りましょう。

オトナンサー編集部

卵は調理方法によって摂取できる栄養素が異なる?