健康を保ちながら、無理なく食費をおさえたいもの。ミニマリストの人気YouTuber、かぜのたみ氏は、「自分に合う食生活を理解し、日々実践する」ことが重要であるといいます。かぜのたみ氏の著書『低コスト生活 がんばって働いている訳じゃないのに、なぜか余裕ある人がやっていること。』(朝日新聞出版)より、「食生活をととのえるコツ」を見ていきしょう。

調理器具は「電気ケトル」と「炊飯器」で事足りる

いまうちにある調理器具は、1.5合炊きの小さな炊飯器と電気ケトルの2つになりました。冷蔵庫や電子レンジ、ラップや保存容器は使っていません。以前の私は、自分の趣味は料理だと自負し、二口コンロは部屋選びの必須条件でした。調理器具も、圧力鍋や土鍋、ミルクパンなど、本当に色々使ったものです。

休日に2,000円分ほど食材を買ってきて、1週間分のおかずをストックし、ご飯も多めに炊いて冷凍……のようなこともよくしていましたが、疲れが溜まる週の後半に、つくってから日が経ったおかずを食べるのは少々つらいものがありました。

ですが暮らしの低コスト化を進めていくうちに、備え付けのIHヒーターでOK、電子レンジや冷凍庫付きの冷蔵庫を設置できない部屋でも可、と条件が緩んでいきました。果たして家賃を5,000円上げてまで、ガスコンロにこだわる必要があるだろうか? 冷蔵庫が必要なのだろうか? と一つひとつ問い直してみた結果、あまり設備はいらないな、となったのです。

いまは調理器具のメンテナンスや、調理中に台所に張り付かねばならない大変さからも解放され、家賃が安くなる以上のメリットも得られてかなり満足しています。引っ越しも一番かさばっていた調理器具一式がなくなり、ずいぶん身軽になりました。

驚くのは、頑張って作り置きしていたときよりも、いまの食生活の方が健康面もととのい、食費も無理なく小さくなったことです。私の生活には、この装備で十分なようです。

いまの食費は少ないときだと、月4,000円を切ることもあるので、何も考えず食材を購入していたときと比較すると、コスト差はかなり大きなものです。

つくりたての方が美味しく、食べたい分だけ調理する方が気持ち的にもラクで、健やかさも快適さもアップしました。一度、完全な外食生活にも憧れて、すべて外食で済ませることもトライしてみたのですが、大概食事量が多かったりして、経済的にも身体的にも結構大変でした。

そのうち卵かけご飯や納豆ご飯と味噌汁、といった、飾らない普段の食事が食べたくなり「それなら家でつくった方が割安」とわかって気が済みました。

実用面でも、経済面でも、健康面でも、自分に合う食生活を理解し、日々実践するのが何よりです。

「食べる分だけ買って、つくる」はメリットだらけ

冷蔵庫に放置していた野菜やおかずを「そろそろ消費しないと……」と無理して食べるのは本当にしんどいです。いまの食生活では、生鮮品の消費に追われることもなく、食べたい量を少量からつくれるので、気持ち的にもラクです。

家にストックしているのは、煮干しや乾燥大豆、切り干し大根ひじきなどの乾物です。季節にもよりますが、週に1〜2回ほど、野菜や卵、豆腐や納豆を買い足して、献立を回しています。

調味料は、味噌、醤油、オリーブオイル、酢、塩といったところです。マヨネーズケチャップめんつゆなどは食べたければ買いますが、必要になる機会はあまりありません。ソースやドレッシングは、オリーブオイルと塩、酢、醤油で大体代用できます。

調理という調理はほぼしておらず、朝か昼に炊飯だけします。炊飯器の釜に、米(しかも研ぎもしない)、一晩水につけておいた大豆、ひじきを入れ、水が馴染んだら、あとは炊いて終了です。それに味噌をお湯でといて海藻を入れただけの味噌汁と、お腹の空き具合によって豆腐や季節の野菜、納豆、酢につけて柔らかくした煮干しを添えたら、食事準備は完了です。残りのご飯はおにぎりにしておくと、時間が経っても食べやすいです。

味噌汁や煮物用に、昆布やしいたけで出汁をとっていた時もありましたが、それほど好きでもなかったのでやめました。嫌だったり、面倒に感じることをやめていった結果が、いまの食生活です。

もし「丁寧に料理したい」みたいな気持ちになったら、そうした「乾物を一晩戻して出汁作り」のようなこともするかもしれませんし、そろそろ乾物や野菜作りをはじめてもいいなと思っていますが、それは人生後半の楽しみにもう少し取っておこうと思っています。

「体の声」を聞くことで、食生活が整う

食生活を小さくするのに考慮した点は、経済性ではなく、「不便や不満を解消する」ということでした。食事は、何を大事にするかによって内容が全く変わってきます。肉が食べたい、野菜を食べたい、美味しいものがいい、コスパを重視したい……などなど、人それぞれ食事に望むテーマは本当に幅広く、「自分が押さえておきたい」ことをきちんと定めておくのが、自分が必要とする食生活にととのえるコツです。

このことを実感したのは、一時期、節約に重きを置くためにパンとパスタばかり食べて日々を過ごしていたら、トラブル知らずだった肌に吹き出物が大量にできたことがあったからです。自分でも不具合の心当たりがあり、小麦製品や菓子を控えて、米と味噌汁のシンプルな内容に変えたところ、肌の悩みが改善したのです。

これをきっかけに米と味噌汁を中心にした食生活に切り替えて以来、自然と野菜を食べる量が増えていき、乾物が便利で美味しいので食べたくなり、時々はタンパク質も必要そうだから魚や卵を少し足し……という感じで、自然に自分が食べたい食材や食事内容が決まっていきました。

いまは謎の吹き出物もほぼ出現しなくなり、便秘知らずにもなり、贅肉もむくみもずいぶん気にならなくなったと体感しています。

体は本当に正直だと感じます。食事が合っていれば、自分も体もご機嫌です。合っていないと、明らかな不具合が出てくるものです。あれやこれやと頭で考えず、体の声によく耳を傾けて食事を決めるようにしています。  

かぜのたみ YouTuber

(※写真はイメージです/PIXTA)