中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が2015年に発表した製造業の高度化を目指す産業政策「中国製造2025」について、香港英字メディアのサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)はこのほど、25年まであと8カ月となる中、電気自動車(EV)などの「新エネルギー車」や次世代情報技術など10の重点分野の200超の目標の86%を達成し、米国の関税と制裁が効かないことを証明したとする記事を掲載した。

記事はまず、「この計画が打ち出された当時、中国の道路を走る車のほとんどは西側の自動車メーカー製で、空は完全に米国のボーイング社製か欧州のエアバス社製の航空機で占められていた。中国の多くの工場は輸入工作機械なしでは操業できず、コンピューターや携帯電話チップオペレーティングシステム、ソフトウエアのほとんどが米国から調達されていた。銀行が使用するデータベースでさえコーディングとメンテナンスを多国籍企業に依存していた」とした。

記事によると、当時の中国は、世界の産業バリューチェーンの下流に位置し、主に安価で技術的に後れた製品を生産していた。「中国製造2025」は、こうした状況を変え、科学技術の進歩を通じて中国の製造業が高品質、ハイテク、高価値の製品を生産できるようにするものだ。しかし、18年に当時のドナルド・トランプ大統領は貿易戦争を開始することで中国の計画をひっくり返そうとした。米国政府は中国のハイテク企業を制裁し、高関税を課し、中国と協力している科学者に対する全国的な調査を実施した。21年に発足したジョー・バイデン政権が中国に対してチップ禁止などの措置を課すことで、それらはさらに一歩進んだ。

記事によると、SCMPが中国当局および他の権威ある資料やデータに基づいて10の重点分野の200超の目標について分析した結果、「その86%超が達成済みで、他のいくつかの目標も今年後半または来年に完了する可能性があり、EVや再生可能エネルギー生産などの一部の目標は予想を大幅に上回っていることが確認された」という。

記事は、「中国製造2025」の継続と推進の直接的結果として、中国社会に大きな変化が生じたとし、情報技術、EV、航空、宇宙開発、電力機器技術、ロボット工学、農業機器、バイオ医薬品、海洋工学などの分野で設定された目標の達成状況について詳しく説明した上で、「回路製造、大陸間旅客機、ブロードバンドインターネット衛星ネットワークに使用される高度なフォトリソグラフィー技術など、いくつかの目標はまだ達成されていない。中国政府は今年、『新たな質の生産力』の発展に向けた野心的な計画を打ち出した。これは『中国製造2025』の継続とみられている」と指摘した。

記事は「中国からの高品質かつ低コストのハイテク製品、特に太陽光発電、大型風力タービン、EVに直面している西側諸国は、新たな貿易戦争と制裁の開始を検討しているが、どれほど成功するかは疑問だ。これまで西側諸国が導入してきた制限措置を見ると、その有効性には限界があり、場合によっては逆効果であることが判明している」とも指摘した。(翻訳・編集/柳川)

中国の産業政策「中国製造2025」について、サウスチャイナ・モーニング・ポストは、現時点での目標達成状況について分析する記事を掲載した。写真は中国の国産旅客機「C919」。