こんにちは、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの堺屋大地です。

 筆者はLINE公式サービスにて、年間約1000件のペースでチャット恋愛相談を受けています。また知人経由で対面の相談を受けることも多く、性別・年齢問わずさまざまな方の恋のお悩みをうかがってきました。

 さて、今回は“「真面目さ」とはなにか?”ということを深く考えさせられるお話。

 今回のご相談者であるほづみさん(仮名・28歳)は、東京のIT関連の企業に勤める会社員。10歳年上の上司と社内恋愛していたそうですが……。

※この記事は本人の許可を得て掲載しています。ただし、プライバシー保護のため実際のエピソードから一部変更しています。

◆きっかけはコロナ禍でのプチ忘年会

 数年前の年末、直属の上司ではないものの同じ部署の課長(38歳)から熱烈にアプローチされたというほづみさん。

「コロナ禍だったんで会社の大規模な忘年会はなかったんですけど、ある企画を一緒に進めていた4人でプチ忘年会をしていました。それから途中で2人帰っちゃって私と課長だけになった途端、彼のスイッチが入ったみたいで口説かれたんです。課長はユーモアがあるタイプですけど、仕事にはとにかく真面目で誠実っていう印象で、社内の評価もめっちゃ高い有能な人。だから私も前々からいいなって思ってはいたんです。けど……」

◆しかし課長は異動が決まっていた…

 ほづみさんが引っ掛かっていたのは遠距離恋愛になってしまうことだったそう。

「課長は新年度の4月から福岡支社に異動することが決まっていたので、なかなか会えなくなるのは辛いなと思って一旦お断りしました。それでもグイグイ押して来られて、『結婚を前提に付き合ってほしい』とまで言ってくれて。真面目な人がこんなに私のことを好きでいてくれてるならって気持ちが動いて、根負けして付き合うことにしたんです」

◆交際3カ月で東京と福岡の遠距離に

 課長が異動になる3月末までは幸せの絶頂。東京に戻ってきたら正式に婚約して同棲しようという話が出ており、どんなマンションがいいかや、子どもは何人ほしいかという話で盛り上がっていたんだとか。

 また、真面目タイプの課長が行為中に避妊をしなかったそうで、ほづみさんはそれだけ真剣に愛されているのだと実感し、嬉しかったそうです。

「だけど福岡に行った途端、彼からの連絡は激減したんです。最初は新天地の激務で忙殺されているんだろうなと思って気にしないようにしてましたが、どんどん連絡頻度が下がって、会える機会もあまりなくて。けっきょく自然消滅みたいな感じで別れちゃったんです」

◆1年後、課長は婚約者を連れて帰京

 課長が異動してから1年。失恋の傷も癒えはじめ、やっと次の恋に進もうかと思っていた矢先に、再び心が搔き乱されたといいます。

「予定では数年間は福岡支社に行っているはずの課長が、1年であっさり東京本社に戻ってきたんです。しかも信じられないというかサイアクなのが、彼は福岡で新しく作った彼女と婚約していたみたいで。しかもしかも、その女はもう妊娠していて、一緒に上京させてそのまま結婚。彼は社内でも即断即決・即実行のタイプでスピーディな仕事っぷりが評価されていたんですけど、私と別れてからのスピード感には呆気に取られました」

 ほづみさんと課長が交際していたことは伏せていたため、二人の関係を知らない同僚たちは課長の結婚とおめでたに祝福ムード。ほづみさんも流れ的になんとか笑顔を作っていたそうですが、“地獄”だったそうです。

「百万歩ゆずってそこまでならなんとか我慢もできたかもしれないんですが、ブチギレ案件が発生しました。妊娠中の奥さんが里帰り出産で福岡に帰っていったと思ったら、課長から久しぶりにプライベートでLINEが来て、『今度二人で飲まない?』と。平身低頭でお詫びでもしてくるのかと思って、一応飲みに行ってあげたんですけど、謝罪の言葉は一言もなく『やっぱりまだ好きなんだ。もう一度付き合おう』と。でも離婚する気は全然なさそうで、『不倫しようぜ』っていう誘い。マジでふざけんなって思いましたよ」

ラブホで「撮影&録音しておきましたよー笑笑笑」

 そこで強烈な怨嗟の念を抱いていたほづみさんですが、後日なぜか課長の告白を受け入れ、ラブホテルに行ったそうで……。

ラブホで二人きりになって課長を徹底的に焦らしたんです。そしたらする気満々の彼から、『本当に愛してるのはお前だけだ』『○○(妻の名前)なんて愛してない』『ずっと一緒にいたい』『君としたい』なんて口説き文句のオンパレードを引き出せたんですよ。ミッションコンプリートしたんでそのまま一切何もさせずにホテルから抜け出して、課長に『さっきの一部始終は撮影&録音しておきましたよー笑笑笑』ってLINEしちゃいました」

◆いったい「真面目さ」とはなんなのか

 その後、課長から鬼電(電話)&鬼LINEが来たそうですが、一切無視を決め込んだほづみさん。

「自然消滅みたいになったのは本当につらかったし、彼が婚約して妊娠させて女を東京に連れ帰ってきたときは本当に殺意を覚えました。でも復讐の最強カードを手に入れたいまは、いい勉強になったかなーと思えるようになりましたね。課長は仕事上だと本当に真面目で誠実で、それはウソ偽りない彼の本質だと思います。でも恋愛のことになると真正のゲス野郎だったわけで。仕事の真面目さとプライベートの真面目さは、まったく別ジャンルの性質なんだなって学習しましたよ」

 その動画と音声をどうするかはまだ決めていないとのこと。ただ、ほづみさんはさわやかな笑顔で、「まだ復讐は始まったばかり(笑)」と宣言していました。

<文/堺屋大地>

【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『文春オンライン』、『smartFLASH』などにコラムを寄稿。LINE公式サービス『トークCARE』では、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。X(旧Twitter):@SakaiyaDaichi

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