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 2022年2月24日ロシアが始めたウクライナへの全面的な軍事侵攻は今もまだ続いている。そんな中、髪の毛を黄色と青に染めた1人のロシア人青年が、「髪の毛をウクライナの国旗の色に染めた」罪で、当局に逮捕された。

 この青年が暴漢に襲われ、スマートフォンを盗まれたことで警察署に被害届を出しに行った。ところがそこで、髪の毛の色がけしからんと、逆に逮捕されてしまったのだ。

 彼は拘留されたのち、軍への入隊のための召喚状を手渡され、軍事訓練を受けることになったという。

【画像】 暴漢に襲われ、被害届を出しに行った警察で逮捕された男性

 4月27日の夜、モスクワ在住のスタニスラフ・ネテソフさんは仕事帰りのバス停で暴漢に絡まれ、暴行を受けてスマートフォンを盗まれ、歯を折られた。

 翌日になって被害届を出すために警察を訪れた彼は、逆に警察官に取り調べを受けることになった。理由はその青と黄色に染めたヘアカラーにある。

 正確にいうと、左右には少しだけ緑の部分もあるのだが、上が青で下が黄色なので、後ろから見るとウクライナの国旗色に近いものがある。

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 警察はこの2色がウクライナの象徴であることから、彼の髪はロシア軍に対する違反行為であるとして、ネテソフさんを拘留したのだ。

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ウクライナを表す「青と黄」はロシアでは犯罪とみなされる

 青色と黄色はウクライナを表す色であることから、開戦以来、ロシアではこの2色を並べて表示することは犯罪とみなされるという。

 髪色はもちろん、衣類や建物、芸術作品に至るまで、青と黄色は隠すか消すかが義務付けられているのだ。

 前夜に起きた暴行事件も、おそらくは彼がウクライナの支持者だと思われた結果、愛国者たちによって起こされたものだったのかもしれないとも推測される。

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 ネテソフさんは当局に指紋を採取され、軍への登録及び入隊事務所への召集状を手渡された後、「塹壕の中で祖国の土に接吻するように」と宣告されたそうだ。

「ウクライナ」に神経過敏になるロシアの状況

 ネテソフさんの事件後の4月28日には、青い海を背景に黄色いジャケットを着て写した写真をSNSに投稿した女性、アントニダ・スモリナさんが、「敵のシンボル」だとして警察に通報されるという騒ぎも起こっている。

 何らかの確固たるポリシーがあったのか、それとも単に若気の至りで、何も考えていなかったのかはわからないが、とにかく今のロシアで青と黄色は鬼門なのである。

 開戦以来既に2年が過ぎ、世界の関心も一時期ほどではなくなってきている感はあるものの、ロシアにとって、ウクライナはあくまで「敵」という認識のようだ。

幸いにして前線行きは免れたものの……

 幸いなことに、その後警察当局が軍に確認したところ、ネテソフさんには兵士としての適性がないと判断され、「召喚状については忘れていい」ということになったらしい。

 とはいえ今回の「犯罪」により、ネテソフさんには最長5年の懲役刑か、最高5万ルーブル(約8万4,000円)の罰金が科される可能性があるとのこと。

 好きな色も自由に使えないとか、ちょっと行き過ぎている部分もあるかとは思うのだが、スウェーデンの国旗も青と黄色だし、IKEAとかもうどうするの?って感じである。

References:Russian Man Gets Prosecuted for Dyeing His Hair Yellow and Blue / written by ruichan/ edited by parumo

 
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髪の毛を「ウクライナ色」に染めたロシア人男性、罰として軍隊への召喚状を手渡される