キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は5月9日、自社内で年末調整を完結させている企業(従業員数300人以上)の、年末調整業務担当者106人を対象に、2023年の年末調整業務の実態調査を実施した。

調査方法は、IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー」の企画によるインターネット調査となり、期間は2024年4月1日~同2日に実施。
○8割以上の担当者が年末調整業務に課題を感じる

調査結果によると、企業の人事部門などで年末調整業務を担当している社員に「あなたは、毎年の年末調整業務に対し、課題を感じることがありますか」と聞いたところ「とてもある」が40.6%、「ややある」が39.6%という回答となり、8割以上の担当者が年末調整業務に課題を感じているという。

毎年の年末調整業務に対し、どのような課題を感じているかを質問したところ「必要書類が期限内に集まらない」が47.1%で最も多く、続いて「不備の対応に時間が取られる」が43.5%、「コア業務に手をつけられない」が42.4%という回答となった。

年末調整業務に対して感じたことのある課題があれば、教えてください(自由回答)」と質問したところ「紙の作業が多い」や「必要証明書の計算が複雑」など、煩雑な業務に負担を感じている声が聞かれたとのこと。
○期間中の残業時間は30~40%増がトップ

「平常時の期間に比べ、どのくらいの割合で『年末調整の時期』の残業時間が増加していますか」と尋ねたところ「期間中、30%~40%程度増えている」が41.5%、「期間中、50%以上増える」が23.6%、「期間中、10%~20%程度増えている」が23.6%という回答となった。

残業時間が増加している人は全体の88.7%、中でも通常の時期に加えて30%以上残業時間が増えている人は65.1%と、多くの担当者が残業をしていることが判明した。

また「年末調整の時期、残業時間が増加する原因はどのようなことだと考えますか(複数回答)」と質問したところ「書類の再確認・修正作業」が52.1%、「従業員からの問い合わせ」が46.8%、「締め切りぎりぎりの書類提出」が46.8%という回答となった。

「2023年の年末調整業務のために発生した残業時間を教えてください」と質問したところ「20時間以上」が28.3%で最も多く、続いて「10時間~15時間未満」が21.7%、「15時間~20時間未満」が13.2%という結果になった。

「2023年の年末調整業務で、特に時間がかかった作業を教えてください」と質問したところ「従業員からの書類の回収・督促」が43.9%、続いて「システム入力作業」が36.7%、「書類の確認と整理」が34.7%という回答となった。
○2024年度に向けて検討したい取組み

「2024年度の年末調整の時期に向け、時間外労働削減のために今後検討したい取り組みがあれば教えてください(複数回答)」と質問したところ、「システムの改善・導入」が48.1%、「作業プロセスの見直し」が47.2%、「人員の確保」が34.0%、「年末調整のアウトソーシング」が32.1%という回答となった。

そのうち「年末調整のアウトソーシング」と回答した人に「『年末調整のアウトソーシング』の導入を今後検討したい理由を教えてください(複数回答)」と尋ねたところ、「業務負担が軽減されると思うから」が73.5%、「専門知識が豊富だと思うから」が52.9%、「ミスの減少に繋がるから」が50.0%、「コストを削減できるから」が50.0%という回答となった。

今回の調査では、自社内で年末調整を完結させている企業の年末調整業務の実態が明らかになり、毎年の年末調整の業務は年に一度の業務のため運用実績が溜まりにくく、法改正への理解と対応も必要なことから、担当者の負担になっているという。

また、同時期の担当者は、従業員からの問い合わせにも対応するなど、コア業務に集中できないのが実情となっている。そのため担当者の業務負担軽減、年末調整の精度向上を目的に、年末調整業務のアウトソーシングの検討をキヤノンMJでは推奨している。
(岩井 健太)

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