K2 Picturesは5月10日、“日本映画の新しい生態系をつくる”として、日本発の映画製作ファンドの設立を発表。併せて、ビジョンに賛同し、これから一緒に映画を作っていく監督/アニメーション会社として、岩井俊二さん、是枝裕和さん、白石和彌さん、西川美和さん、三池崇史さん、MAPPAの名が挙がりました。
K2Picturesは東映でプロデューサーを務めた紀伊宗之さんが立ち上げた会社で、映画や映像を中心とした事業を展開。今回新たに立ち上げる映画製作ファンド「K2P Film Fund I(読み:ケーツーピー フィルム ファンド ファースト)」は、新たな日本映画製作の形から世界基準の映画を届けることを志向するものです。
同ファンド立ち上げを伝えるリリースでは、「ゴジラ-1.0」をはじめNetflix「忍びの家 House of Ninjas」やDisney+「SHOGUN 将軍」など、産業として日本のコンテンツの力強さがみられる一方で、日本の映画製作の生態系は長らく変わっていないと指摘。海外法人や国内でも新しい投資家が参入しにくい状況や、クリエイターや制作に関わるスタッフへの利益還元も十分でないとして、それらを推し進めるために日本発の映画製作ファンドを立ち上げ、多くの才能が映画産業に夢を持ち続けられる体制を整えることで、日本映画をさらに活気ある産業にしていくこと、世界の市場に向けて展開していくことが大きな目標だと背景を伝えています。
世界中の投資家によるファンド参加や、国際的な作品製作のため、フランス・カンヌで現地時間5月14日から開催される、第77回カンヌ国際映画祭で記者会見を実施予定。紀伊さんの他、三池さん、西川さんが登壇予定で、加えて、監督デビューする大型新人監督についても発表するとしています。
K2 Picturesは同ファンドの本格始動にあたり、新規株主の資本参加や業務提携の締結などで製作体制を強化。加えて、スポーツ・エンタメ領域やファンド領域を専門とする弁護士や、エンタメ領域を得意とする会計事務所・ビズアドバイザーズのサポートの下、海外からの投資を想定した法律・会計基準を有するファンドを練り上げたとしています。
・岩井俊二さんコメント
紀伊宗之のやりたいことなら絶対に応援したい。それがこのプロジェクトに参加した僕の純粋なる動機だ。
プロデューサーとしての彼は無類に頼もしい。彼にかかったら開かない鍵なんかないかのようだ。
彼とする仕事は無類に楽しい。それは彼に人を信じる力があるからだと思う。いつの時代も破天荒な発明家が時代を塗り替えて行く。今回、彼は僕らのために新しい乗り物を作ってくれた。K2 Pictures。
それは自動車のようでもあり、船のようでもある。飛行機にも潜水艦にもなり得る。
山に登ればそれはピッケルとアイゼンに変身してくれる。
そんな変幻自在、臨機応変なしなやかさがK2 Picturesの持ち味になることだろう。
そんなチームだったらフィルムメーカーだって本気で頑張れる。
僕も思いつく限りのアイデアを投じてこの恩に報いたい。
どんな冒険が僕らを待ち受けているだろう。
10年後、どんなチームに成長しているだろう。
とにかく今から何もかもが待ち遠しくて仕方がない。
・是枝裕和さんコメント
30年映画を作って来て感じていた既成の作り方への疑問や、違和感をどうしたら改善できるか模索している途上で、紀伊さんたちの取り組みに出会いました。このチャレンジが成功して、映画界に良い風が吹き、新しい才能にチャンスが開かれる。そんな未来を実現しようとしている心意気に共感して、仲間に加えていただきました。
共闘を楽しみにしています。
・白石和彌さんコメント
K2 Picturesの勇気ある船出に心から拍手を送ります。日本の映画界に革命を起こし、見えない壁を壊してください。今までの日本映画では実現不可能だった企画や、突出したユニークな才能が生まれることを期待しています。私も並走して世界を驚かせる映画を作りたい。よろしくお願いします。
・西川美和さんコメント
日本の映画の世界でキャリアを重ねながら抱くようになったのは、なぜか自信や希望よりも行き止まりのロープにつんのめるような感覚でした。これ以上映画を撮るのはなんとなく怖いような気がしていました。
それで「映画」から背を向けるように、従来の映画会社や出資者が決して歓迎しないような話を書いていたんです。すると紀伊さんという人が立ち上げたK2 Picturesが新しい投資で資金繰りしてそれを映画にする、と言ってくれた。本気だろうか、と思いました。
しかも若い作り手の独創的な企画にもチャンスの扉を開いているという。安全牌で固める発想ではなく、新しい人やきわどいものに必要十分な資金と環境で機会を作ることを目指すK2 Picturesの挑戦には乗ってみる価値があると思いました。
ある意味、K2 Picturesのファンドや新しい配給の仕組みは、危険な冒険にも思えます。実際、一筋縄ではいかないこともあるでしょう。でもそれが映画作りだし、どうせ映画を作るなら私は冒険をするチームと組みたい。それがこれから先に日本で映画を作っていく人たちの、新しい活路になっていく可能性があるならばなおさらです。
・MAPPAコメント
「K2 Picturesの挑戦を応援したい」という想いで、このプロジェクトに参加させていただきました。
私たちも、アニメーションスタジオとして何ができるのかを精いっぱい考えながら、映画製作のパートナーとして力を尽くしたいと考えております。
・三池崇史さんコメント
『K2 Pictures』。 そして紀伊という怪しげな男について
紀伊=誠実な破壊者。
私はこう見ている。とてもパワフルだ。そして、そのエネルギーの源は、優しさだと思っている。
「もっと面白い映画を創って、もっと幸せになろうよ」
紀伊さんの笑顔に、そんなシンプルなメッセージを感じる。
だから私は『K2 Pictures』を信じている。
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