食物繊維は果物にも含まれていますが、効果的な食べ方はどんな食べ方でしょうか? そこで本稿では、長年腸内細菌を研究し続けている医学博士の内藤裕二氏による著書『70歳からの腸活』(エクスナレッジ)から一部抜粋して、食物繊維を含む食品と食べ方について解説します。

最強の腸活食品はキウイとバナナ

食物繊維はいろんな食品から摂るのが基本ですが、せっかくなので、私がよいと思っている食物繊維が豊富な食品についても少しお話ししましょう。

1つは果物のキウイです。国産のキウイもありますが、1年中入手可能なものは、ニュージーランドから輸入されています。

日本にキウイを輸出しているニュージーランドのメーカーのデータによると、緑色のグリーンキウイには、1個あたり約4gの食物繊維が含まれています。甘いゴールドキウイはそれより少ないので、食物繊維を摂りたいなら、グリーンキウイのほうがよいでしょう。

でも酪酸菌を増やす効果はグリーンキウイにもゴールドキウイにもあります。ヒトの腸内環境に似た環境をつくって、そこにグリーンキウイとゴールドキウイをそれぞれ添加して観察した研究では、48時間後、2種類のキウイはどちらも酪酸濃度が高められることがわかりました(グリーンのほうが若干多い)。

果物でもっとも食物繊維が多い食品は、今のところキウイが一番です。グリーンキウイは甘くないので、野菜サラダに入れてもおいしいでしょう。

バナナも1年中入手できる食物繊維の豊富な果物です。バナナは100g あたり、1.1gの食物繊維が含まれています。

またバナナにはオリゴ糖も多く含まれています。オリゴ糖にはいくつか種類がありますが、バナナに含まれているのはフラクトオリゴ糖です。

母乳に含まれるビフィズス菌を増やす因子がオリゴ糖とわかったことがきっかけで、オリゴ糖は注目されるようになりました。

これまでの研究で、オリゴ糖にはビフィズス菌などを増やす効果があることが確認され、工業的につくられたオリゴ糖が、サプリメントなどに用いられるようになっています。

もともと天然のオリゴ糖は少ないので、プラントベースフードからオリゴ糖を摂りたいのであれば、バナナがよいのではないでしょうか。

なおトピックスとしてキウイとバナナを紹介しましたが、いくら腸活によいといっても、それだけを食べるのはお勧めできません。 プラントベースフード(植物性の食品)を基本とした多様な食べものが多様性のある腸内フローラをつくるということを忘れないようにしてください。

果物は加工せず、そのまま食べよう

キウイやバナナだけでなく、果物の多くは食物繊維が豊富ですが、果糖が多いのが弱点です。

果物が体によいからといって、ジュースにしてガブガブ飲んだら、糖質の摂りすぎになってしまいます。

注意してほしいのが市販の果物ジュースです。とくに輸入されているリンゴジュースやオレンジジュースは、還元糖などが添加されていますが、これは砂糖と同じで腸活にはよくありません。

ですから、果物を食べるならそのまま食べることが大事です。生の果物にはいろんな菌がついていますから、果物と一緒にその菌を体の中に入れることで、腸内フローラの改善につながる可能性があります。なお、殺菌された市販のジュースではこのような効果は皆無です。

京丹後市の高齢者のアンケート調査でも、好きな食品に果物があげられていました。適度に食べるのであれば果物は食べてよい食品です。

全粒穀物を積極的に摂る

食物繊維のところで、白米よりも玄米がよいといいましたが、これは玄米のほうが食物繊維を多く含んでいるからです。

玄米の外側のぬかの部分を取り除いたのが白米です。食物繊維はぬかの部分に多く含まれているので、腸内細菌のエサである食物繊維を増やしたかったら、玄米を食べたほうがよいのです。

玄米が苦手という人は、胚芽米や雑穀米でもよいと思います。雑穀米は、大麦やきび、あわ、ひえ、黒米、赤米などの全粒穀類をブレンドしたものが市販されています。

雑穀米を白米と一緒に炊くだけで、食物繊維が豊富な主食になるので、試してみてください。

パンやうどん、ラーメン、パスタなどの材料である小麦粉も、外皮を取り除いて精製されたものです。 いわゆる白い小麦粉は白米と同じで、食物繊維が少なくなっています。

でも最近は全粒粉を用いたパンやパスタなどが販売されています。パンやパスタを食べたいときはこういう製品を利用するとよいでしょう。

私たちの調査によると、京丹後市は27%の人が毎日全粒穀類を食べているのに対し、京都市内では11%しか食べていないことがわかりました。

食物繊維の摂取量を増やしたいなら、お米は玄米や胚芽米、雑穀米にして、パンやパスタも全粒粉を用いたものを食べることをお勧めします。

内藤 裕二

京都府立医科大学大学院医学研究科

教授/医学博士

(※写真はイメージです/PIXTA)