台風が来ると頭が痛くなる人がいる。それは偶然なのだろうか？実際、天候は頭痛や偏頭痛の引き金になることが多いと言われている。台風がくると、なぜ雨具だけでなく鎮痛剤も必要になるのか？
残念ながら現時点の科学では、頭痛と台風の関係について、完全に立証されていない。だが少なくとも頭の痛さが何のせいなのかは、ある程度はわかっているという。
ここでは、台風頭痛の原因に迫ってみよう。
【画像】 台風が来ると頭痛がする理由は気圧の変化によるものなのか？
台風がやってくると頭が痛くなるという人は結構多いそうだ。だが嵐と頭痛との関係は、科学的にはっきりと立証されていないようだ。
「台風頭痛」の犯人としてしばしば挙げられるのは、気圧の変化だ。
例えばこれと似たようなものとして「飛行機頭痛」というものがある。
気圧は高度が高いほど低くなる。飛行機の機内は与圧されて地上と同じような環境が保たれているが、それでもまったく同じなわけではない。そのため離陸時や離着時に起きる気圧の変化の影響で、頭痛やめまいを感じることがあるのだ。
だが、気圧の低下は高いところだけで起きるわけではない。台風が近づけば地上の気圧が低下する。だから、これが台風頭痛の有力な犯人とされている。しかし、それは本当なのだろうか？
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2019年のレビュー研究は、気圧の低下と頭痛の関連をテーマとする過去の研究を調べている。それによると、7000人以上を対象とした研究では、「気圧の低下は、急患の診察が必要になる頭痛のリスクを一時的ではあるが増加させる」ことが確認されたという。
ところが、このレビュー研究では、台風頭痛をテーマにした過去研究全体としては、「一貫性がなく、強い関連を立証できていない」ことも確かめられた。
そして同じような結論が、より最近の2023年のレビュー研究でも出されているのだ。
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どうして気圧が頭痛を引き起こすのか？
このように低気圧と頭痛との関連性は定かではないものの、大勢の人が台風で頭が痛くなる経験をしているのだから無視するわけにもいかない。
そこで仮に両者に関係があるとして、一体なぜ低気圧で頭痛が起きるのだろうか？
いくつか説があるが、有力なのは「三叉神経（さんさしんけい）」への影響である。三叉神経とは顔の感覚を脳につたえる神経で、眼・上顎・下顎の神経の3つに分かれていることからこう呼ばれる。
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さまざまな頭痛や顔面痛に関係することで知られるが、いくつかの研究はこの三叉神経が中耳における気圧の変化に弱い可能性を指摘している。
たとえば2010年のラットを使った研究では、気圧が低下すると脳幹の核（顔からの感覚情報を伝える）にある神経細胞の電気的活動が増加することが判明した。
人間でも同じメカニズムが働いていると考えられ、それが気圧の変化による頭痛の原因となる可能性があると述べている。
これを踏まえた2021年の小規模な研究では、8分間気圧の変化にさらされた人間の被験者が、頭や耳に圧迫感を感じ、軽度から中等度の頭痛を発症するケースがあることが確認された。
また台風頭痛は、耳だけでなく、鼻が関与している可能性もある。
ネブラスカ大学の神経科医の解説によると、副鼻腔の圧力の不均衡によって、前頭部や目の奥に痛みが生じることがあるのだという。
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台風頭痛が起きる理由は人によって異なる
ただし全体として見た場合、こうした台風頭痛の引き金と考えられるものは、人によってもまちまちであるようだ。
たとえば2000年のある研究では、同じ気象現象（北米ロッキー山脈から吹き下ろす暖かい風/チヌーク）に対する片頭痛（偏頭痛）患者の反応を調べ、それぞれが異なる条件に、かつ異なるタイミングで反応し、頭痛を経験していることがわかった。
そんなわけで、台風と頭痛との関連性は、科学的に確実に立証されているわけではないが、気圧の変化が頭を痛くする、それなりに確からしい科学的な説明もきちんとある。
ここまで読んでも、台風頭痛を抑える処方箋は何もないが、ちょっとだけでも頭のモヤモヤが晴れてくれればいいんだけれど。
References:Are Pressure Headaches Before A Storm A Real Thing? | IFLScience / written by konohazuku / edited by / parumo
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