こんにちは、一級建築士の八納啓創と申します。会社員の方から上場企業の経営者宅まで、住む人が幸せになる家をテーマにこれまで120件の家づくりの設計に携わってきました。
 
『日刊SPA!』では、これまでの経験を生かし、「これからの時代に必要な住まいの姿」をテーマにお伝えしていきます。

今回は、「梅雨時期にこそ注意したいダニ問題」をお伝えします。

◆2011年に起こった「ダニ被害」

東日本大震災が起こった2011年3月。夜になるとコンビニなども消灯し、とにかく電力不足を補うために多くの人が頑張りました。

さて、この年の夏にとんでもない事態が起こったのをご存じですか? 夏になっても冷房も極力使わないように……という風潮に。それにより「ダニ被害」で苦しむ人が大勢いたのです。

ダニは、「室温26~30度、湿度60~80%」の環境において大発生することが分かっています。件の2011年は、例年と比べて冷房を控えた結果、恐るべき事態を招いてしまいました。

光熱費高騰時代”の今日でも、同じような事態を巻き起こす可能性が大いにあり得るでしょう。
 
◆高温多湿の状態のときが危ない

ダニに刺されると、数時間から2日ほど経ってから赤くはれてかゆみが生じ、かさぶたのようになり、治るまでには1週間はかかります。

それ以外にも、気管支喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎など症状は様々ですが、ダニの死骸やフンを吸い込むことで起こる「ダニアレルギー」というものもあります。当然ながら、ダニの数が増えるほど被害も増えるわけで……。

繰り返しになりますが、ダニが発生するのは高温多湿の状態ということを押さえておきましょう。また、梅雨に入る時期にダニは卵を産みます。だからこそ、夏の被害を押さえるためにもちょうど今くらいのタイミングでのダニ対策が必須なのです。

◆「食品庫や食品棚」に大量発生する可能性が

ダニが発生しやすいのは、人のフケやアカ、カビがある場所。布団やソファ、ぬいぐるみなどは注意が必要で、それ以外にも古新聞、古雑誌、段ボールなどもケアしたほうが良いでしょう。

意外なところでは、食品庫や食品棚です。昆布や鰹節などの乾物、小麦粉などの粉物、加えて一度開封したお菓子などを常温のまま棚にしまっていませんか?

それらにダニが湧く可能性が高いことを忘れてはいけません。気温と湿度が合致すると、これらはちょうど良いエサになるので、卵を産まれ、爆発的に繁殖する可能性があります。

「ちゃんとフタをしていれば問題ないのでは?」と思うかもしれませんが、ダニは目に見えないくらい小さな生き物。もろともせず、容易に侵入するのです。

昆布や鰹節、小麦粉にまぎれたダニの死骸を食事と一緒に口にしてしまうことで、ダニアレルギーを発症しているケースも少なくありません。

◆30匹のダニが約10週間で1万匹近くに…

このように、条件が合うとダニはどんどん増え続けるのです。30匹のダニが1か月で成虫となり、2~3か月の寿命の間に50~100個以上の卵を産みます。そうなれば、約10週間で1万匹近くにも繁殖すると言われています。

ダニの繁殖を防ぐために、まずは家の中の湿度を60%以下を保つ工夫をしましょう。外の湿度が高い時に窓を開けないことや、エアコンの除湿運転をかけることもポイントです。

もちろんこまめな掃除も重要です。掃除機を最低週2回程度かければダニの繁殖数を軽減させることが可能です。布団やソファー、ぬいぐるみなどは布団乾燥機をかける。あるいは洗濯したりして、常に清潔な状態に保ちましょう。

乾物などの食品は、冷蔵庫に入れるのがベターです。ただし、冷蔵庫の下の段は湿気が多いため、出来るだけ冷蔵庫の上の方の段に保存するといいでしょう。

これらの対策を行うだけで、“ダニリスク”が軽減されるでしょう。梅雨前に対策することで、安心して夏を迎えたいところです。

<TEXT/一級建築士 八納啓創>

【八納啓創】
1970年神戸市生まれ。一級建築士、株式会社G proportion アーキテクツ代表取締役。「地球と人にやさしい建築を世界に」をテーマに、デザイン性、機能性、省エネ性や空間が人に与える心理的影響をまとめた空間心理学を組み込みながら設計活動を行っている。これまで120件の家や幼保園、福祉施設などの設計に携わってきた。クライアントには、上場会社の経営者やベストセラー作家をはじめ「住む人が幸せになる家」のコンセプトに共感する人が集い、全国で家づくりを展開中

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