「俺の行動がストーカーに該当するか判断してほしい」。そんな奇妙な書き込みが、インターネット掲示板に投稿された。投稿者は、40歳独身のサラリーマンだというが、いま気になっている女性がいて、次のような行動をしているのだという。

・その女性がフェイスブックで紹介しているCDやDVDを借りる

・彼女の好きなアイドルグループファンクラブに入会する

・「彼女と同じ匂いを味わいたい」という理由で、シャンプーをおそろいの銘柄に変える

自動車も、彼女が乗っているのと同じ車種に買い替える

そして、次のステップとして、彼女の旅行先にこっそりついていき、現地で偶然出会うことを目指しているのだそうだ。

意中の彼女は、仕事を通じて知り合った30歳の独身女性。名刺交換をしたことがあるぐらいで、おそらく彼女にしてみれば「面識がある」程度にすぎないだろう。しかし、男性のほうは、毎日こっそりフェイスブックチェックし、彼女の嗜好にあわせた商品を購入し、さらには、旅行先についていこうとしている。

このような男性の行為は「ストーカー」にあたるのだろうか。中西祐一弁護士に聞いた。

ストーカー規制法の「つきまとい行為」とは?

ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)は、まず、ストーカー行為の前段階の『つきまとい等』という行為を定めています」

中西弁護士はこのように切り出した。具体的に、どういう行為を指すのだろう。

「『つきまとい等』とは、『恋愛感情』または『恋愛感情が満たされなかったことに対する恨み』を満たすために、ストーカー規制法2条1項に挙げられている行為を行うことをいいます。

たとえば、相手の家や勤務先の近くでの待ち伏せや、その日に着ていた服の色などを告げて監視していることを気づかせる行為、また動物の死体など嫌悪感を催させるものを送りつけるといった行為が、これにあたります」

男性の行為は、「つきまとい等」に該当するのだろうか?

フェイスブックチェックや、彼女が借りたものと同じCD・DVDを借りること、彼女が好きなアイドルファンクラブに入ったり、お揃いのシャンプーや車を買ったりすることは、『つきまとい等』には含まれません。

一方、相手の女性と同じ日に金沢へ行くことは、『つきまとい等』に当たる可能性が高いと思われます」

●「つきまとい等」と「ストーカー行為」はイコールではない

「ただし、ある行為が、単なる『つきまとい等』ではなく『ストーカー行為』になるには、『つきまとい等』が、『相手に不安を覚えさせるような方法』で『反復して』行われる必要があります」

ある行動が「つきまとい等」にあたるからといって、すぐに「ストーカー行為」になるとは限らないようだ。では、この男性の行為については、どうなのか?

「今回の事例では、相手の女性には伝えず、その旅行先へ行く予定のようですので、『相手に不安を覚えさせるような方法』とはいえないと思われます。また、現時点では『つきまとい等』が『反復』されたともいえません。

したがって、この男性の行為は、現時点では、法律上の『ストーカー行為』にはあたらないと考えられます。

とはいえ、相手の女性に知られた場合、『ストーカーされている』と思って、不快感を抱く可能性はかなり高いと思われます。したがって、このような行為は控えたほうが良いのではないかと思います」

中西弁護士はこのように述べていた。女性に万が一「気持ち悪い」と思われたら、これまでの努力も水の泡だ。彼女との共通点はもう、充分すぎるほど作れただろう。そろそろ、お茶に誘ってみるなど、直接的なアクションを起こしてもいい時期ではないだろうか。

弁護士ドットコムニュース

【取材協力弁護士
中西 祐一(なかにし・ゆういち弁護士
金沢弁護士会所属。
地元の方々の身近なトラブルの解決を目指し、民事・刑事を問わず幅広い分野の案件を取り扱っているが、その中でも、刑事事件には特に力を入れており、裁判員裁判や冤罪事件の国家賠償請求事件などにも積極的に関わっている。
事務所名:中西祐一法律事務所
事務所URLhttp://www.nakanishi-law.net

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