ゴールデンウイークの初日(4月25日)、そしてニコニコ超会議が開催されているその頃……、当編集部は最近ツイッターを賑わせていた、広島県東広島市の山間部で目撃された“噂の艦隊”を襲撃せんとひたすら車を走らせていました。

場所は東広島市の国道375号線沿い。山陽自動車道 西条(さいじょう)I.C.と中国自動車道 三次(みよし)I.C.のちょうど中間あたり。今回は西条I.C.から北上すること約40分。のどかな、これぞまさしく3桁国道ともいえる道の右手に突然の艦隊が出現っ!!!

【画像付きの元記事はこちら】

民家と国道の間にある田んぼに、この日は戦艦や空母、潜水艦など6隻が優雅に警備の任にあたっていました。

奥の民家の方にお話を伺うと、この民家のご主人がまさに艦隊を建造された張本人。御年75歳になられる新田忠則さん。学校の教員をされていたそうですが、このプラモデル様の造形のルーツは、どうやら高校生の頃からだそうで60年を超える大ベテラン。

今までになんと100隻以上も建造したそうですが、親戚や友人へ譲渡しているため、手元に現存する艦は少ないそうです。
通りかかる多くの方に見てほしいとのことで、快く取材に協力いただいきました。

最初は目標とする具体的な艦艇があり写真を見ながら建造されるそうなのですが、徐々にバランスが崩れたり破損時に補修したりする中で似通った別物になっていくことが多々あるそうです。それもまた楽しみのひとつとされていて、具体的な艦名がわからないものもありました。

【最新型の護衛艦
船尾の甲板上にある機体はもともとヘリだったそうだがプロペラが消失してしまったそう

巡洋艦
モデルはあるそうだが修復等を重ねた結果原型はすでに不明。だがカッコイイ!

潜水艦
艦名不明

【米国の航空母艦
ヨークタウン

戦艦大和
建造後10年を超えているとのこと

航空母艦赤城】
全長は1.94mあるそう

気になる艦船の素材ですが、建築用資材として用いられる堅い発泡スチロールとボンド。それに竹串、ペットボトルのキャッププラモデルのパーツ切り落とし後の端切れなどの廃材を利用されているとのこと。これまでに粘土などの様々な素材で作ってきたそうなのですが、田んぼにバランス良く浮かせながら適度な強度と耐久性が得られる発泡スチロールに落ち着いているとのことでした。

ボンドも、接着剤の成分によって発泡スチロール自体が溶けてしまうことがあるため、様々な種類を試した末、現在は木工用ボンドに落ち着いているそうです。ただし乾きが遅く、乾燥するまで1週間程度かかってしまうため、出来上がるまでに相応の時間がかかってしまうことが弱点。

そして、艦隊の最大の天敵は敵国艦ではなく「台風」。母体が軽量であるため猛烈な風により転覆したり、飛ばされ大破や轟沈したりしてしまうことが度々。中破程度であればドック入りして補修し、再度艦隊に合流することもあるそうですが、轟沈した艦船は見える限りで5隻も。

目の前が国道ということもあり、飛ばされて走行中の車両に当たってしまっては楽しみが台無しになってしまうため、台風が近づくと一度ドックに避難(回収)しているそうです。
また、万一中破した時は破損部分をカッターナイフ等で切り取り、同じ形の発泡スチロールを造形して貼り付ければ同じバランスで修復できるため、修復後に再度航海(公開?)されているそうです。

それでも、水に浮かぶように作られているため心地よい風が吹くとゆったりと船体を揺らしてくれます。風にそよぐ様はいつまでみていても飽きがきません。艦首から重石へと紐で繋がれているため一箇所に集中して集まることもなく、適当な間隔で船体を揺らげています。

▼動画


http://www.nicovideo.jp/watch/1430215779

 
近頃はインターネットでの囲碁の対局に熱中されているそうで建造の進捗はよくないそうですが、なにやら全長2m級の新たな艦艇を建造中でした!近い将来お披露目されるかも!?

ちなみに、水を張った田んぼに浮かべている艦隊ですが、実は田んぼは休耕田となっていて、年中水を入れて展示されているとのことです。新田さん曰く、雪の時期がオススメとのこと。
年中見ることが出来る風景。ぜひ国道を通りかかる際は一度車を安全な場所に止めて眺めていってほしいと思います。写真も遠慮無く撮影して構わないそうです。
ただしこのごろは囲碁の対局に熱中されていますし普段の生活もありますので、お声がけはほどほどに。

場所:広島県東広島市豊栄町飯田1340(Googleマップhttps://goo.gl/maps/aTW2s

(取材:y3sei

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