事故発生は4月30日午前だった。江蘇省連雲港市内の高速道路で、リンゴを満載した大型トラックが横転した。積み荷は路上や道路脇に散乱した。周辺住民が集まってきた。最初は運転手の求めに応じて、散らばったリンゴを集めていた。ところがいつしか、住民は「自分のため」にリンゴを集めはじめた。最終的にリンゴ2トンあまりが持ち去られたという。鳳凰網などが報じた。

 トラックは山東省でリンゴを積み込み、江蘇省の泗陽県に運ぶ予定だった。江蘇省連雲港市内の高速道路で横転事故を起こした。詳しい原因は明らかになっていないが、車輪を側溝に突っ込んで横転したという。交代要員を含めて運転手2人が乗務していた。事故の衝撃でいったんは意識を失ったが、しばらくして回復したという。

 トラックは道路脇の斜面に横転した。通報を受けて現場に急行した道路管理当局スタッフによると、トラックに積んでいたプラスチック製の箱が、高速道路上や道路脇に落ち、大量のリンゴが散乱していた。

 スタッフトラック引き上げのためのクレーン車出動を要請し、落ちていたリンゴを拾い集めはじめた。トラック運転手は近くにいた地元住民に、拾い集める作業を手伝ってくれるよう懇願した。集まった人々は最初、運転手の求めに応じて、リンゴを拾い集め、ケースに入れていた。

 積んでいたリンゴは約10トンだった。量が多すぎて、拾い集める作業ははかどらなかった。そのうち、作業を手伝っていた住民の様子がおかしくなった。拾ったリンゴを自分のものにしだした。

 携帯電話をかける住民がいた。しばらくすると、「新たな一群」があらわれた。大きなビニール袋を持っていた。30人程度はいたという。事故現場に突進した。次々に持参した袋にリンゴをつめはじめた。

 大騒ぎになった。「やめてください!」という運転手の声が時おり聞こえた。集まった人々の声にかき消された。運転手は「警察に通報します」とも叫んだ。人々の手が、一瞬、止まった。一瞬だけだった。再びリンゴをかき集め始めた。

 地面に散乱したため、傷ついたリンゴも多かった。集まった人々は、よいリンゴを選んだ。多くの人が殺到したため、無傷のリンゴが踏みつけられた。集まった人々は、持参した袋が満杯になると、どこへともなく去って行った。

 クレーン車やレッカー車が到着した。事故を起こしたトラックを道路上に戻して、牽引(けんいん)して現場を去った。別のトラックが到着して、箱につめられたリンゴを積み込んだ。

 最後まで、リンゴを拾い集めることを手伝った周辺住民もいた。トラック運転手は、「善意ある住民の皆さんには感謝します」と述べた。トラック運転手によると、リンゴは2トン程度が持ち去られたという。(編集担当:如月隼人)(写真は鳳凰網が2日に報じた、上記記事のキャプチャー