『ばらかもん』は、長崎県五島列島の離島を舞台に、一人の青年の成長を描いたアニメ。のどかな田舎のちょっとダメな大人たちと、元気な子どもたちの呑気な日常に癒やされます。今回ご紹介する「木戸浩志」は、主人公の青年書道家「半田清舟」が暮らすことになった地区の世話役である郷長の息子で、主要キャラクターの中では唯一の高校生。なぜか両親たちよりも清舟の面倒をよく見ています。


【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】


■平凡コース

 浩志はまじめに勉強しているのにも関わらず成績はオール3(5段階評価)、何をやっても平凡で誰も認めてくれないことがコンプレックス。両親から「平凡が個性」と言われるほどの平凡さです。そのため個性を出そうと髪を金髪に染めて不良ぶってみるも、やるのが芋泥棒というのが田舎の限界。そして、親に反抗しようとしてもパワフルなお母さんには結局頭が上がりません・・・。

 当初は、東京から来た半田先生を「ちょっと頑張ればできるやつ」とひがんだ目で見て反発しますが、先生の精魂尽きるまで努力した跡を見て、自分が頑張っているつもりでも実は中途半端に過ぎなかったことを悟ります。とはいえ、だからといってその後がむしゃらに頑張ったかといえばそんなこともなく、ひたすら平凡ロードをひた走っています。

■世話女房

 半田先生は郷長の奥さん、つまり浩志の母親に食事を作ってもらっています。アニメでは触れられていませんでしたが、実は食費もきちんと払っている事は原作で説明されていますので、一方的な奉仕というわけでもないのですが、よそ者に食事の世話までしてあげている事を浩志はあまりよく思っていませんでした。

 実際、先生を尋ねた折に食事の差し入れは最後だと申し渡しています。ところが、自炊しようとして指を怪我した先生見て放っておけなくなり、再び差し入れを再開。食事以外にも、生活能力が低い先生のためになにかと世話を焼いてやるように・・・。先生が書道展に出品するために東京に一時帰宅している間、子どもたちに荒らされた部屋は、きっと浩志が音頭を取って掃除しなければカオスになっていたでしょう。そして、そんな二人の仲睦まじい様子は、腐女子の中学生「新井珠子」の妄想をかきたてるのです。

■やっと見つけた夢

 高校3年生の浩志は、アニメ終了時点では漠然と「島の外に出る」としか考えていませんでした。しかし、あるとき先生に料理がうまいと言われ、料理人を志すようになります。とはいえ、浩志の料理の腕は実のところ平凡レベル。それを高校の先生に指摘されて迷ったものの、半田先生に「自分に自信があるなら他人の太鼓判など必要ない」と言われ、あらためて料理修行を決意。髪を黒く染めなおして有名料亭の面接に挑みました。

 浩志は平凡すぎる自分に嫌気が差しています。しかし、実はコンスタントに平均点をとれるというのはすごい事だと思います。「凡事徹底」という言葉がありますが、平凡なこともひたすら極めれば非凡になる。「木戸浩志」の平凡さは、もしかしたら将来の大きな成功の鍵なのかもしれません。


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★記者:玄Kuro(キャラペディア公式ライター)

(C)ヨシノサツキスクウェアエニックス・「ばらかもん」製作委員会

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