中国は、ウクライナから購入した空母「遼寧」に続き、国産としては初となる「2隻目」の空母建設に着手したとされる。しかし、艦載機開発の問題を考えれば、中国にとって空母保有は「極めて高い買い物」になる可能性がある。

 中国が現在、「遼寧」に搭載させているのは、ロシアの「Su-33」をベースに瀋陽飛機工業集団と瀋陽飛機設計研究所(601研究所)が開発した「J-15(殲-15)」だ。その他、瀋陽飛機工業集団が自己資金で開発中の「J-31」もステルス艦上戦闘機と見られている。

 中国の軍事情報メディア「太行軍事網」は20日、J-31は艦上戦闘機として役に立たないと同時に、中国の現状では、艦上戦闘機開発が「極めて高くつく」と論じる記事を掲載した。

 艦上戦闘機は「搭載できる武器の量と質」、「長大な航続距離」などの諸要求を満足させねばならず、開発にはそもそもコストがかかる。しかし中国が現状で保有している空母は、「遼寧」1隻だ。

 記事によると、艦上戦闘機の価格を「経済的に引き合う」水準まで落とすには、空母を最低でも5、6隻は保有せねばならないという。さまざまな性能を持つ艦上戦闘機を開発しようとしたら、米国と同程度まで空母保有数を増やさねばならない。

 「太行軍事網」は触れなかったが、中国の場合、艦上戦闘機を他国に売却することも、そう簡単ではない。

 さらに、これまで中国は国防費を急速に増やしてきたが、経済の減速がはっきりとした現在、従来のように豊富な資金を航空機開発に回せるかどうかにも、疑問が残る。

 1991年旧ソ連が崩壊した一因は、米国に対抗するあまり軍事費を多く割きすぎたこととされる。旧ソ連1970年代から固定翼機搭載の空母を次々に建造したが、90年代に相次ぐ退役、あるいは建造中止を余儀なくされた。現在ロシアが運用中なのは、アドミラル・クズネツォフ1隻だ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)