およそ3800万年前のヘビ3匹が寄り添うようにして死に絶え、そっくりそのまま化石となった状態で発見された。
この保存状態の良い稀有な化石は1976年にワイオミング州のホワイトリバー層で発見されたが、その正体はずっと謎に包まれていた。
だが新たな研究で、これらのヘビが新種であることが判明し、大昔のヘビの社会的行動に関する洞察をもたらしてくれた。
このヘビは現代のボアの近縁種で、ラテン語で「冬を越す」の意のHibernareと、ギリシャ語で「ヘビ」を意味するophisを組み合わせて、「Hibernophis breithaupti(ハイバーノフィス・ブレイサウプティ)」と名づけられた。
ヘビは変温動物だが、群れて冬眠することは珍しい。
現代では全米に生息するガーターヘビが数百から数千匹もの塊になって冬眠することが知られているが、化石の状態からこの新種ヘビもガーターヘビのように群れて冬眠していた可能性があることを示しているという。
寒い時期に身を守るために群れをなすガーターヘビ / image credit:Greg Schechter via Wikimedia Commons, CC BY 2.0
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太古のヘビの社会的行動を示す証拠
これは爬虫類の社会行動を記録した初めての化石証拠と言えるかもしれない。
「爬虫類にとってこれは本当に珍しいことです」論文の共著者であるカナダ、アルバータ大学のマイケル・コールドウェル氏は言う。
現在生息するおよそ1万5000種の爬虫類のうち、ガーターヘビのように集団で冬眠する種はいません(コールドウェル氏)
ガーターヘビは、10月から4月にかけてひとつの巣穴に集まって大集団で冬眠する。一緒に冬眠する仲間を募るために長距離を移動することもあるという。
集団でおしくらまんじゅうしながら冬眠することで互いに暖をとれば、気温が下がっても体温が下がらないという利点があるからだ。
彼らは体温を調節できないので、冬の間できるだけ熱を逃がさない方法を見つけなくてはなりません。そのために仲間同士で大きな塊になって冬を乗り切るのです(コールドウェル氏)
寄り添いながら化石となった「Hibernophis breithaupti」も同じ理由で群れていた可能性がある。
この化石はヘビたちが死ぬ直前にとった社会行動の瞬間をとらえている。おそらく眠っている間に小さな洪水に巻き込まれ、細かい砂泥岩に閉じ込められたのではないかと思われる。
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このプロセスによって、ヘビたちは群がったままそっくり型どりされたような化石となり、関節がきちんと残った完璧な骨格として保存された可能性がある。
ヘビがこのように完璧な状態の化石で見つかることは極めて稀なのだという。
ヘビは数百の脊椎で構成されているため、死ぬと簡単にバラバラに散逸してしまうことが多いからだ。全身が完璧な状態で見つかることは本当に珍しいことなのだ。
この研究は『Zoological Journal of the Linnean Society』(2024年6月19日付)に掲載された。
References:Newly discovered snake species provides insight into reptile social behaviour and development | Folio / 38-Million-Year-Old Fossil Rewrites Snake Evolution | Sci.News / written by konohazuku / edited by / parumo
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