南アフリカで捜索願を出されていた22歳の男性が、2日後に排水溝の中から見つかり、救出された。男性を発見したのは散歩中の犬と飼い主だったが、男性が排水溝の中にいた理由や、どれくらいの間そこにいたのかは今も分かっていない。すべてが謎だらけのこの出来事について、南アフリカのニュースメディア『TimesLIVE』などが伝えた。
南アフリカのハウテン州プレトリア郊外にある住宅地モンタナ・パーク(Montana Park)で7月31日の午後、散歩をしていた住民は連れていた愛犬が道路脇にある排水溝を執拗に嗅ぎ、吠えたのを見て不審に思った。その住民がコンクリートに覆われた排水溝の下をのぞいてみると、人がいるのを発見した。そして通報を受けた非営利団体「シノヴィル消防隊(Sinoville Firefighting Association)」が現場に急行した。
排水溝にいたのは、プレトリアのイーストリン(East Lynne)に暮らすジュリアン・オットーさん(Julian Otto、22)と判明した。彼は7月29日、自宅から車で20分ほど離れたヴォンデールボアム自然保護区へ行くためにオンラインタクシーサービスを申し込んだが、20分後にキャンセルし、そのまま行方不明になった。家族は翌30日に捜索願を出していた。そして行方不明から2日後、ジュリアンさんはモンタナ・パークで発見されたが、そこは自宅からヴォンデールボアム自然保護区へ向かうルートとは逆の方向だった。
排水溝は幅50センチほどで、かろうじて横たわることしかできない。さらに排水溝の上には、豪雨でも水があふれ出ないよう重いコンクリートの蓋がはまっており、一人で持ち上げることは不可能だった。消防隊はコンクリートの蓋を壊して救出する方法を考えたが、重いコンクリートがジュリアンさんに落下する危険があった。幸いにも近所の人から寄付があり、それで適切な機械を購入し、ジュリアンさんの救出が開始された。その間、ボランティアスタッフの女性が道路から排水溝に横たわるジュリアンさんの手を握り、彼を落ち着かせることに努めた。
消防隊が通報を受けたのは午後3時15分だったが、迅速な対応のおかげでジュリアンさんはその35分後に救出された。シノヴィル消防隊の創設者ヨハン・ボエタ氏(Johan Botha)は通報があった当初、マンホールのようなところに落下したと思い、ハーネスを使って引き上げることを考えていたそうで、「犬の散歩をしていた住民が、その排水溝でジュリアンさんを発見していなければ、おそらく彼は亡くなっていただろう」と述べている。
救出直後のジュリアンさんは、意思疎通が難しかったが、その後は点滴を受けて落ち着き、病院に搬送された。
なぜあの排水溝にいたのか、どれくらいの間そこにいたのかは依然として謎だが、「どこか別の場所から這うようにしてあの排水溝にたどり着いたのではないか」とヨハン氏は推測している。さらにヨハン氏は、地域住民のサポートにも感謝しており「私たちは人を救うために奉仕しているのであって、お金のためではなく、純粋に命を救うためにやっています。彼の命を救えたことをうれしく思います」と語った。
ジュリアンさんの母親エステルさん(Estelle)は、南アフリカのニュースメディア『TimesLIVE』の取材に応じ、「発見時は泥だらけでしたが、今は綺麗になり、落ち着いています」と息子の様子を明かしている。
画像は『The Citizen 「Miracle rescue: Missing man survives 3 days in Pretoria drain」』『TimesLIVE 「Missing man found alive in stormwater drain, sniffed out by dog」(Image: SBBV)』より
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)
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