蜘蛛が苦手な人にとっては、大きな毒グモ「タランチュラ」はできれば近づきたくない存在だろう。だが当のタランチュラはコミュ力が高く、他の生物から人気があるようだ。
新たな研究では、両生類のほか、ヘビ・ウデムシ・ザトウムシなどと仲良く交流していることが報告されている。
こうした交流は、タランチュラが周囲の生き物たちに何らかのメリットをもたらす共生関係を築いている可能性を示唆しているという。
以下本文では、本物のタランチュラが登場するので留意してほしい。
タランチュラと様々な生き物たちが交流しているのは、ある種の共生とみなすことができる。
生き物たちの共生関係は、お互いにメリットがあるギブアンドテイクの「相利共生」や、片方は得をしても、もう片方にとっては負担でしかない「寄生」など、いくつかの種類がある。
今回観察されたタランチュラと生き物との関係が、はたしてどのタイプの共生なのか今はまだ分からない。
だがトゥルク大学(フィンランド)のアリレザ・ザマニ博士によると、少なくともタランチュラは一方的に搾取するような「見境のない殺し屋」ではない可能性が高いという。
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むしろ、タランチュラは意外なパートナーとお互いにお得な関係を築くことができます。そうしたやり取りはこれまで考えられていたよりずっと複雑で、しかも普通に行われます(アリレザ・ザマニ博士
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タランチュラと一緒にいるカエル / image credit:Tomasinelli & E. Biggi, Courtesy of Alireza Zamani
タランチュラの毛深さと関係が?
こうしたタランチュラと生き物たちのと交流は、タランチュラの特徴である毛深さが進化した理由にも関係するかもしれないという。
タランチュラの毛は刺激性があり、足で蹴ってばら撒いて、外敵から身を守ることがある。
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そして今回の研究によるなら、こうした毛は意外にもグンタイアリから身を守るために進化した可能性があるという。
攻撃的で獰猛なグンタイアリはタランチュラにとっても恐ろしい相手で、タランチュラは彼らから逃れるため葉からぶら下がったり、毛に空気をたくわえて水中に逃げ込んだりすることもある。
もちろん、毛はアリの顎から体を守る鎧にもなってくれるだろう。
カエルを背に乗せるタランチュラの動画
Frog on a Tarantula
さらに今回の研究では、タランチュラが上皮腺から化学物質を分泌し、身を守っているらしいことも明らかにしている。
というのも、猫や犬がタランチュラのニオイを嗅いだとき、かゆみを引き起こす毛を飛ばされたわけでもないのに、顔をしかめて後ずさりすることがあるからだ。
ザマニ博士らは、今回の発見がさらなるタランチュラの研究につながることを願っている。
この研究は『Journal of Natural History』(2024年8月6日付)に掲載された。
References:Turns Out, Tarantulas Hang Out With Lots Of Animal Pals | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo
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