中東呼吸器症候群MERSコロナウイルスに感染していた韓国人男性が「患者との接触はない」と虚偽の説明をして香港に入境したことに対し、韓国メディアの朝鮮日報(華字版)は3日、「韓国人の責任感のない行動がMERS国際問題に拡大させた」と批判した。

 記事は、5月26日に韓国から香港経由で中国に入国した韓国人男性がMERS患者との接触があり、自身も発症していながらも虚偽の説明をして香港に入境したことを紹介し、香港人から「韓国人の意識とはこの程度か」と批判の声があがったと紹介。

 さらに、MERS感染が拡大したことに対し、第一の責任は「対応が疎かだった韓国政府当局にある」としつつも、感染がこれだけ拡大してしまったことについて「当然ながら感染者個人も責任は重い」と指摘。韓国でMERS感染を最初に確認された患者はMERSが拡大していたサウジアラビアを訪れていた事実を隠していたと伝えた。

 続けて、韓国社会には法律やルールは「自分ではなく、他人が遵守すべきもの」との風潮があるとし、MERS感染者や隔離された一部の韓国人が見せた欺瞞や嘘(うそ)といった行動は「こうした社会の風潮を反映させたもの」、「犯罪であるという意識すらないはず」と論じた。

 さらに記事は、日本や米国では小学校で保健教育が行われ、感染病の予防や他人に迷惑をかけないための方法を教えていると伝え、「個人の責任下における衛生管理は疾病と戦ううえでの根本である」と主張。MERS感染が拡大していることを通じて、韓国の国民は「社会全体に蔓延する“責任感の乏しさ”が危険な結果を招くことを認識すべき」と論じた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C) Jakkrit Orrasri/123RF.COM)