bango.jpg 国民一人一人に番号を割り振る「(共通)番号制度」――これまでも幾度となく導入が検討され、その都度頓挫してきたこの制度に再び政府が取り組もうとしている。情報を一元化すれば、より適切な課税や給付ができる上、事務処理のコストを削減できるし、国民にとっても自身の情報を確認・訂正がしやすいとされている。しかし、その一方でプライバシーやセキュリティに対する不安も根強い。果たして政府はどう対応していくのか。

 日本経済団体連合会は、2010年12月15日、国民一人一人に番号を割り振る「(共通)番号制度」について議論をする「番号制度に関するシンポジウム」を開催し、その模様は、ニコニコ生放送でも生中継された。パネルディスカッションでは、各界の代表がさまざまな観点から議論を展開。与党・民主党から参加した和田隆志衆議院議員が示すプランに対し、野党・自民党平井卓也衆議院議員が反対意見を述べる場面もあった。

 和田議員は、世代間のアンバランスがあるのに「社会保障と税制について、個々人の国民がどういう状況にあるのか全体像を示せていない」と導入の動機を語り、民主党のここまでの取り組みを説明した。民主党は、番号制度の利用範囲について、「幅広い行政分野で使うことは視野におくが、社会保障と税分野から取りかかっていこうかと考えています」とし、当面は限られた利用範囲での運用を目指すと説明。プライバシーやセキュリティの問題については、現在使われている住基ネットを活用することで対処するとした。

 これに対し、平井議員は「世代間のアンバランスの解消は政策の話であって、番号で解決できる問題ではないし、それ自体のインセンティヴは弱いと思います」と、多額の予算を必要とするのに、利用範囲を社会保障と税に限定すれば、国民の支持は得られないと反論。国民目線に立って、戸籍謄本や住民票による本人確認の煩わしさを解消できるような、より範囲を広げた番号制度の在り方を提唱した。

 さらに、平井議員は、「日本は(番号制度の)後発ですよ。今まで政府のシステム等々を開発してきましたけれど、この番号がないために随分無駄なコストを使って来ました。そして、今、番号の話となるわけですから、各国の取り組みを参考にするというよりは、全く新しい発想で電子政府という新しい政府を作るんだというぐらいの気持ちで取り組まないと成長戦略にもつながらないと思います。どうせやるなら徹底的にやるべき」とも述べ、民間の力も活用することで、内需拡大にもつなげられるという見解も示した。

番号制度に関するシンポジウム~豊かな国民生活の実現に向けて~
http://live.nicovideo.jp/watch/lv34399663
(番組はタイムシフト機能2010年12月22日まで視聴できる)

(野吟りん)