中国の諜報機関である「国家安全部」は若い学生に対して、イケメン美女の外国スパイが仕掛けるハニートラップに用心せよと注意をうながしている。
特に注意を呼びかけられているのは、機密性が高い研究データにアクセスできる大学生だ。
外国のスパイは、そうした学生を誘惑し、偽りの恋愛関係を結んでは、中国の機密情報を盗み出すよう操ってくるのだという。
中国国家安全省は2024年9月4日(現地)、学生に対する警告を、中国版SNS「「WeChat」で発表した。
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きっかけはアメリカで起きた中国のスパイ疑惑
このところ中国の諜報機関「国家安全部」が外国によるスパイ行為を非難するようになったのは、米国で起きた中国のスパイ疑惑が発端となっている。
つい先日、米国でニューヨーク州知事の側近だったとされる人物が、中国のためにスパイ行為を行っていたとして訴追された。
逮捕されたリンダ・サン容疑者(ならびにその夫)は、2012~23年まで州政府に勤務し、キャシー・ホークル州知事の首席補佐官代理などを歴任。その間、中国政府のために便宜を図ってきたとされる。
中国外務省の報道官はこの事件に関してコメントを控えつつも、中国への誹謗中傷はいかなるものであっても反対すると表明しているという。
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当局が外国人スパイの手口を説明
国家安全部によれば、外国人のスパイは研究者やコンサルタントを装い、学生たちに近寄ってくるという。
特に狙われるのは経済的に苦しい若者たちだ。外国スパイはそこにつけ込み、高報酬の仕事を紹介したり、食事やプレゼントで気を引いたりと、日常生活のさまざまな面倒を見ながら、学生の信頼を得ようとする。
「彼らは日常で世話を焼き、問題解決の手助けをすることで学生の信頼を得る」と、国家安全部は警告する。
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こうして学生が気を許すようになると、それとなく機密情報を教えるようにおわせるのだ。
そうした外国のスパイは、気さくなイケメンや美女で、恋愛感情を利用することもあるという。
「偽りの恋愛感情」で学生を操り、SNSや電話を使って少しずつスパイに染め上げていくのだそうだ。
やがて外国のスパイは、学生により違法性の高い行為(軍事施設の写真撮影など)を求めるようになる。
もしも学生が嫌がるようならそれまでの優しい態度はどこへやら、脅迫するなどしてスパイ活動を強要してくるという。
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国家安全部の「WeChat」の公式SNSアカウントでは、ほぼ毎日のように漫画やアニメを利用したこうした警告が投稿されているのだそうだ。
裏切り者への見せしめも
また国家安全部は、裏切り者を待つ運命も忘れずに伝えている。
例えば、つい先日、とある中国企業の社員が違法に鉄道データを収集し、外国の諜報機関とつながりがある顧客に流していたことが発覚。
この人物は投獄され、政治的権利を剥奪されたという。
さらに6月には、イギリスの諜報機関が中国政府に勤務する夫婦を勧誘していたとも報告された。
英国政府の報道官はこれに対して、「諜報や安全保障上の活動についてはコメントしないのが、従来からの方針」と述べたそうだ。
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