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 以前、アメリカのミシガン州で、30年もの間貴重な隕石をドアストッパーとして使っていたご家庭があった。

 石に詳しくなければ気にしないだろうし、たかが石ころにそんな価値があるとは夢にも思わないかもしれない。

 同様のことがルーマニアの片田舎でも起こっていた。ブザウ県コルツィ村に住む高齢女性が、川で見つけたキレイな石をドアストッパーとして使うことにした。

 1991年に女性が亡くなったとき、遺品を整理していた親族がこれが普通の石じゃないことに気が付き鑑定したところ、とんでもないお宝だったことが判明する。

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ドアストッパーは巨大な琥珀の塊で国宝級のお宝だった!

 この「ドアストッパー」の正体は、重さが約3.5kgもある巨大な琥珀の塊だったのだ。

 このサイズはこれまで発見されたものの中でも最大級で、時価にしてなんと約110万ドル(約1億5千万円)の価値があるという。

ルーマニア政府に売却、国宝に指定される

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 女性の財産を相続した親族の男性は、このドアストッパーもしばらくの間保管していたが、もしかすると非常に価値があるものではないかと思い、ルーマニア政府に売却することにした。

 政府はこの石をポーランドのクラクフ歴史博物館に送って鑑定を依頼。専門家により、推定で3,850万年から7,000万年前のものであると確認された。

 これを受けて、ルーマニア政府はこの琥珀を国宝に指定した。

 現在、この琥珀が収蔵されているブザウ県博物館の館長、ダニエル・コスタシュ氏は、これが世界最大級の琥珀の一つだと考えているという。

この発見は科学的なレベルでも、そして博物館レベルでも、大きな意味を持っているものです

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 ちなみに女性の生前に、一度泥棒が入ったことがあったのだが、親族によると彼らは目の前にお宝があることに全く気づかなかったという。

彼らは貴重品を必死に探すあまり、目の前にあった本物の宝物を見逃してしまったんです

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女性が住んでいた土地は世界有数の琥珀の産地

 ルーマニアは世界有数の琥珀の産地として知られており、「国石」つまり国の石には琥珀が選ばれている。(ちなみに日本の国石は翡翠だ)。

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 特にブザウでは質の良い琥珀が豊富に見つかると言い、彼女が暮らしていたコルツィ村には、琥珀博物館も開設されている。

 この博物館には約200点の琥珀が所蔵されており、1989年ルーマニア革命の際に処刑されたエレナ・チャウシェスク元大統領夫人のコレクションも展示されているそうだ。

 琥珀は木の樹液が硬化して天然の樹脂となった、いわば樹液の化石である。中に小さな虫などの生き物が閉じ込められているものは、「虫入り琥珀」と呼ばれている。

 古代の生物たちがそのままの姿で保存されているため、化石資料としても有用で、天然のタイムカプセルと言えるかもしれない。

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 琥珀の産地はバルト海沿岸やドミニカ共和国が知られているが、日本にもいくつかの産地があり、中でも岩手県久慈市では良質な琥珀が採取されるそうだ。

 久慈市にある久慈琥珀博物館では、冬以外の時期に「琥珀採掘体験」を開催しており、時にはこんな大物が発掘されることも。

 運が良ければ、このルーマニアのドアストッパー以上に巨大な琥珀を見つけることができるかもしれない。

 岩手を訪れる機会があったら、チャレンジしてみるのも面白そうだね。

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