サイゼリヤがセルフレジの導入を急いでいる。7月10日に同社が発表した第3四半期決算短信によると、2024年8月期中に全店舗への配置を完了させる予定だ。
セルフレジの利用方法は次のようになっている。サイゼリヤでは、料理を注文した後に店員が紙の伝票をテーブルまで持ってくる。伝票にはバーコードが印刷されており、食事が終わった後、セルフレジの読み取り機にかざす仕組みだ。筆者が利用した店舗のセルフレジには、お客が迷わないようにするためか、読み取り機に「バーコード」と印刷されたシールが貼ってあった。
支払方法は現金、交通系電子マネー、クレジットカードなどに対応している。支払いを取り消すケースなどを除けば、基本的に店員と接することはない。
サイゼリヤでは、お客のスマートフォンから注文する「セルフオーダー」の導入を進めている。料理を食べ終わった後、画面上の「お会計をする」をタップするとバーコードが表示される。スマホ画面に表示されたバーコードをセルフレジに読み取らせることも可能だ。
筆者がよく利用する都内の店舗では、有人レジがセルフレジに置き換わっていた。料理の注文方法も、従来はお客自身がテーブル上にある紙に番号を記載して店員に渡す方式を採用していたが、こちらもスマホで注文するセルフオーダーに変更した。
システム的には紙の伝票を廃止することも可能だ。しかし、口頭で料理を注文するお客も一定数存在するため、セルフレジでは紙・スマホどちらかのバーコードを読み取らせる方式にしていると考えられる。
●DXを推進する背景
サイゼリヤはDXを強力に推進している。同社の松谷秀治社長は「『食堂業の産業化』を推進するため、DXを活用することを経営の方向性として決定し、取り組み続けます」と説明している。サイゼリヤの強みである「安さ」を維持するためには、生産性を他産業並みに向上させる必要があると考えているのだ(出所:同社公式Webサイト)。
店舗運営における生産性を向上させるため、他の大手外食チェーンと同様にセルフオーダーやセルフレジを積極的に導入するサイゼリヤ。これらの施策の達成指標として、セルフオーダーやセルフレジなどの利用率を掲げている。慢性的な人手不足、賃金上昇、資源価格の高騰といった厳しい環境をDXで乗り越えられるか。
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